コラム
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2012/1/18
960    目的はどこ

「目的をどこに持っていくかによって会社の方向が違うよね。高級料亭のようなお客さんに来てもらおうと思ったらそれを目指した会社にすべきだし、そうでないならそこまでのしくみと心構えはいりません」。そんなにアドバイスをいただいて、高級料亭に来るようなお客さんに来てもらえるような会社を設立して今に至っている方がいます。

当時、そう思ってスタートさせたのですが、それが現実の姿になっています。そのアドバイスをしてくれた人は「私はアドバイスをしただけで、決断をしたのはあなたですから偉いのはあなたですよ」と答えて、今も陰で支援を続けてくれているのです。

素晴らしいアドバイザーとそれをやり遂げた人の存在が社会を支えています。

高級料亭を目指すのか、それともだれにでも来てもらえるお店を目指すのかによって、資金調達、素材の選び、立地条件や価格設定は違ってきます。更に来てくれるお客さんが違いますから、提供するサービスもスタッフのサービスレベルも違ってくるのです。何を目指すかによって、同じ業態であっても何もかも違ってくるのです。

私達は単に仕事や勉強で一番を目指すと言いますが、仕事のどの分野で一番なのか、勉強のどの科目で一番なのかを明確にしておかないと、結局は何も達成できないままとなります。全ての分野で一番になることは容易ではありませんから、狙うところを小さく絞り込んで研鑽を重ねることが大切です。

高級料亭的な事務所を目指すのであればお客さんの人数は少なくなりますが、その分単価が高くなります。単価が高い分、応対する能力やサービスレベルを高める必要があるのです。お客さんが高いお金を支払うということは、それだけのものを求めてくるのは当然で、他の事務所と同じ品質やサービスだったら、お客さんは来なくなってしまいます。同じものであれば安い方が良いからです。

高級料亭的な仕事を目指すのであれば、そこに来るレベルのお客さんと同じレベルの経営者、スタッフであるべきです。高級料亭に来るお客さんは、色々なお店を回って、最終的にそこを選択しているのです。コンサルタントの仕事も無数にあります。その中から選んでもらうためには、他にない仕事の品質、サービスレベルを持っておく必要があります。

ただし気をつけておくべきは、高級料亭的なところに来るお客さんは些細なことで苦情を言うことはありません。トラブルは少ないのですが、その分、特別なお客さんであるという配慮が必要となります。ここでは余裕を持って面談時間を調整しているので、お客さん同士が出会わないようにしています。いつ行っても一人対一人の関係で話が出来るので、「私だけのために」という雰囲気があります。

そして今では各地での講演活動を行っていますし、時間を見つけて東京や外国で新しい知識を習得しているのです。勉強から実践を行い、実践の中から必要なことをまだ勉強で身に付けるサイクルを確立しているのです。高級料亭的な仕事を続けるためには、自分もそのお客さんと同等の知識と価値感を身に付けておかなければならないのです。それは決して楽な道ではなく、勉強、研究、実践を繰り返すことを楽しめる能力が必要です。