コラム
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2012/1/17
959    太陽

ある歯医者さんとの話です。この歯医者さんのことは一度コラムに書いたことがあるのですが、休むことなく今日も仕事をしていました。そしてやはり患者さんに心を持って接していました。他で治療した歯の状態は、その経験から上手下手が分かります。上手な治療をしている場合は患者さんに「この治療はとても上手ですね。しっかり歯を守ってくれていたので安心して下さい」などの言葉を掛けます。患者さんは、以前治療していた歯医者さんを褒められて嫌な気はしませんし安心します。

それに反して下手な治療を受けている場合もあるのです。そんな時は患者さんには何も言いません。不安にさせる必要はありませんし、自分が上手に治療すれば良いからです。

つまり良いことは話しても良いのですが、悪いことは言ってはならないのです。人の場合も同じで、誰かを褒めることは誰に言っても良いのですが、批判する内容のことは第三者に話してはいけないのです。褒めると褒められますが、批判をすると批判として自分に返ってきます。

因果応報とも引き寄せとも言えますが、兎に角、自分の蒔いた通りの花が咲き種子が蒔かれるのです。これは宇宙不変の法則ですから心しておくと良いと思います。

職業は違いますが同じような話をしてくれた人がいます。その教えは「常に太陽になれ」というものです。太陽のように出会う人を暖めること、安らぎを与えること、生命の恵みを与えること、それが出来る人になりなさいと教えてくれています。常に太陽でいると誰からも批判は受けませんし、仮に批判を受けたとしても誰かがその批判を打ち消してくれます。人が太陽のような心を持てば、その力はそれだけ強いのです。

ところが常に心を太陽の状態に保つことは難しいものです。時々北風が吹くのです。どんなに心掛けていても、天候が変わるように時々北風が吹くことがあるのです。太陽の下で気持ち良くしている人のところら北風が吹くと、それまでの気持ちの良さが消えてしまいます。太陽は誰に対しても寛大で、何かを仕掛けられたとしても文句を言わずに光と熱を届け続けます。そこまでの境地に達することは難しいのですが、それでも太陽を目指すことが人格を形成するために必要な修行です。

北風と太陽の物語にあるように、最後は太陽が勝ち残るのです。太陽は太陽のように悠然としていれば良いのです。自分が不利益を受けたことや、常に言えない立場にあることに不満をおぼえて北風を吹かせると、そりまで照らされていた人の心から安らぎがなくなります。人の気持ちとは不思議なもので、それまで恩恵を受けていたことを普通に思っていたことが、北風を吹かされるとそれが不満に変わります。太陽に対して北風を吹かせたことへの批判を行うようになります。

常に太陽でいると周囲に人が集まりますし、批判を受けても周囲がそれを打ち消してくれます。常に太陽でいて北風を吹かせないこと。それがこれから何かを成しえようとする人が心掛けておくことです。常に微笑んでいる太陽に向かってくる人はいません。