コラム
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2012/1/16
958    千枚の色紙

「あなたは運がいいですね」。そんな言葉で歓迎してくれました。挨拶のためにY社長を訪ねました。幸い社長は在室していて時間を取ってくれました。そこでこの言葉が飛び出したのです。

運が良いと言った理由は、訪問したその日、熊野本宮大社の直筆の色紙が届いていたからです。直筆の干支の色紙は貴重なもので、欲しくても入手できるものではありません。

熊野本宮大社の宮司さんが年末に親しい人に配布している色紙は千枚です。全て直筆で図柄とサインが書かれています。年末に千枚を配るために新しい年の1月から11月までの間、毎日数枚ずつ色紙を書いているのです。毎日、来年のために色紙を書くことができる人は少ないと思います。平成24年は辰年のため竜の色紙ですが、親しい人の顔を思い浮かべて年間を通じて色紙を書いているそうです。

直筆の色紙そのものに価値があるのですが、この色紙にはそれ以上の価値があります。毎日書き続けている色紙に込められた、その人を思う気持ちに価値があるのです。12月に届けるために誠心誠意毎日数枚の色紙を書き続けること。色紙にはその強い意思の力が宿っているのです。

タイミングよく色紙を拝見することができました。もし一日訪問日が遅れていたら、Y社長が在室していなかったら、この直筆の色紙に出会うことも、千枚の色紙が誕生していることも、千枚の色紙に秘められた話を聴くこともなかったのです。タイミングが良かったとしか言いようがありません。

つまり幸運は自ら行動したところにだけ訪れてくれるのです。迷っていたり躊躇していたら幸運は逃げていきます。思ったら即行動することが幸運を引き寄せてくれます。

平成24年に向けた色紙は「出発」と「笑顔」の二種類です。「出発」は東北や紀伊半島の大災害から立ち直るために歩き出すこと、それを旅立ちという言葉で表現していると思います。

人は困難に直面した時、立ち尽くすことも選択できますし、一歩踏み出すことも選択できます。どちらを選択するかは自由ですが、気持ちの中で一歩を踏み出さないとそこから旅立つことはできません。旅立ちとはその場から新しい場所や環境に向かうことを意味しています。困難な経験や一歩を踏み出した経験を糧として、今よりも先に進むように旅立ちたいものです。

また「笑顔」は苦しい時にこそ笑顔を忘れないで元気になるように祈りを込めた色紙です。どちらも勇気をいただける色紙になっています。

平成24年はこの二枚の色紙に見守られた事務所で仕事ができます。熊野本宮大社の宮司さんの継続する力と、再生を願う強い力が漲る色紙が見守ってくれるのですから、幸運なことです。そして宮司さんが1月から翌年に向けた行動を開始しているように、1月から1年先の多くの人の幸せを思い描いて、社会的使命として与えられている仕事を継続させたいと考えています。