コラム
コラム
2012/1/6
953    聞く姿勢

和歌山市内の異業種交流会のメンバーIさんと話をした時のことです。この異業種交流会にある市議会議員が初参加したそうです。名刺交換などを行った後、食事を取りながら自由懇談の時間になりました。参加した市議会議員はこの会は初めてなのでメンバーを良く知らないと思ったIさんは、そのテーブルに着席して話し掛けました。年齢はIさんの方が年上なので面倒を見ようと思ったからです。

ところが反応は意外なものでした。市議会議員は自分の方が各上だと思っていたようで、Iさんの話を聞こうとしなかったのです。

「この異業種交流会のメンバーの人達は○○の関係で集まっているのですよ」と話し掛けると、「そうですか。でもこの集まりの中に市議会議員はいないようですね」。

「市議会議員がいないといけませんか」と問いただすと、「いないと市政のことは分からないでしょう。私に尋ねてくれたら良いですから」という回答がありました。次の言葉は「・・・」で出てきませんでした。

話題を変えて、「仕事をしている合間に私達はまちづくりにも参加しているのですよ。また関心があれば参加して下さいね」という話をしたところ、「私が参加するのですか」という反応でした。これ以上話をしても無駄だと思ったのです。

その市議会議員は話の途中で席を立ってしまいました。Iさんが言うには、「人から学ぼうという姿勢がない。特に経験者から聞こうとしないと何も見えてこないのですが」と残念がっていました。年下の市議会議員ですから、社会経験豊な人から学べることは沢山あると思います。経験者の言うことを聞くことで経験不足を補えるのです。

ですからIさんは「言っても聞く姿勢を持たない人に関わっていても時間の無駄だから、話すことを止めました。若い市議会議員なのに学ぶ姿勢がないとこれから伸びないと思います。もう偉くなったと思っているのでしょうか」と話してくれました。

社会人になると人は人から学ぶことが多くなります。書物で学ぶことも大切ですし、人から学ぶことも同じように大切なのです。経験したことのない人にとって他の人の経験談は、時には理解できないこともありますし退屈な時もあります。しかし人生の先輩が若い人に話をしてくれるのは、経験を伝えたいと思っている証拠ですし、見所があるから伝えようとするのです。

人の話を聞くことは難しいと言われますが、人の話を聞けないことはもったいないことです。若い人がまだ歩いていない人生を、既に実践してきた先輩からその経験を聞く機会は貴重なものだからです。

そして伝えようとする人に対して生意気な態度をとった場合、次の機会はなくなります。

今回のIさんも「聞く姿勢のない人に話をすることはない」と話しているように、聞いて学ぼうとする姿勢があると人は真剣に経験を伝えてくれるのです。聞く姿勢を持つことは、経験者の人生を学べる絶好の機会を持つことになります。何かを実践してきた人生を学べることは自分にとってブラスですから、大いに聞く姿勢を持ちたいものです。