コラム
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2011/12/12
940    震えの克服

最近あまりタイガー・ウッズの名前は聞かなくなりましたが、ゴルフの歴史に残る大選手です。そんなタイガー・ウッズも試合の大事な場面では震えることがあると聞きました。人には震える場面があります。それは日頃とは違う境遇に直面して対処に自信がない場合。普段は接する事のない目上の人に対してプレゼンテーションや、重要な仕事の最終局面での話し合いなどの場合。試験の前日や議会では一般質問の当日の朝などがそれに該当します。緊張して震えることは悪いことではありませんが、震えが恐怖心に変化すると心理的に良くありません。試合では堂々とプレーしている姿があり、時には大きな試合でも楽しんでいるように見えるウッズも、やはり私達と同じ心理状態にあるのです。

「恐怖心は未来の不確実さに意識を集中してしまうことから生まれます」。そして「恐怖心は、自分への問いかけの不確かさを餌にしています。自分が備えていないような何か恐ろしいことに直面したらどうしよう。というものです。そこには論理などはありません」。

全てのゴルファーとって恐怖心は最大の敵だとも言われますが、それはゴルファーだけではなくて、私達が行動しようとした時にも言えることです。何かの行動を起こそうとする場合、多くの場合、行動した結果を予測します。大丈夫だと思うと、思い切って行動に移せますが、もし失敗したらどうしようと思った途端、行動にブレーキがかかります。ブレーキがかかるというよりも自分で行動を止める方向に制御してしまうのです。それは結果が見通せない不安からくる恐怖心が心を支配するからです。

何かの行動を起こそうとした場合に恐怖心は最大の敵として立ち塞がります。その恐怖心をその場で取り除くことは簡単ではありません。恐怖心を乗り越える武器は自信です。自信を持つには、その行動をゴールまで辿り着かせるだけの知識があること、過去に同じような経験があること、必要な技術を身につけることなどが必要です。

しかし知識や経験、技術は、簡単に身につくものではありません。行動を起こそうとした時に恐怖心が芽生えたとします。その場で、その恐怖心を克服するだけの知識を得ることも、経験を得ることも、技術を身につけることも出来ません。だから恐怖心はその場で克服できないのです。恐怖心に取り付かれたままで先に進んでも萎縮するだけで結果は伴いません。

ウッズであれば「それが現実のものであろうと自分の想像の産物だろうと、不安に思ったりしない」のでしょうが、私達は中々そうはなりません。ではどうするのか。その場でできることは、恐怖心を取り除いてくれる知識を持った人、経験を積んだ人、技術を持った人に相談することです。自分が恐怖に思うことでも、経験者や技術を持った人であれば恐怖に感じないのです。そして私達がその次にすることは、同じような場面に遭遇した場合は自分の力で恐怖心を克服することです。そのためには日頃から勉強をすること、多くの人に会うこと、少しレベルの高い仕事を引き受けることです。そうして身につけた直面するものを恐れない自信が、行動と共に襲ってくる、そして時には心に芽生える恐怖心を克服させてくれるのです。

*「」内は「タイガー・ウッズも震えてる。」から引用。