コラム
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2011/11/10
920    なりたい自分

私の人生は私のもの、だから自分で考えて自分で選んで自分で生きる。そんな台詞から始まりました。私と私の人生を愛して生きることが輝く人生の過ごし方だと、西川奈緒美さんの講座から学びました。

自分のことなのに自分で分からないことがあります。それは自分について見つめることをしていないからです。本を読んだり様々な経験を積んだりしていても、自分は何をしたいのかだとか、何が好きなのかなど考える機会は少ないのです。まして自分について書かれた本はありませんから、客観的に自分を知ることはできないです。それなのに他人から自分の評価を聞くことは怖いことから、その機会もありません。結局、自分のことは自分で知る以外にないのです。自分を知ることで「なりたい私」の輪郭が見えてくるのです。

「なりたい私」はどんな私なのか、即答できる人は少ないと思います。それは今の自分の心も分からない、どこを目指しているのかも分からないからです。

会社で「部長になる」はなりたい私ではありません。部長になって何をしたいのかを考えることがその先にあります。その先を見つけることが自分を見つけることなのです。

部長になって売り上げを150パーセント伸ばす。伸ばすのは数字ではなくて部下を実践教育して次の会社を支える人材に育てること。そう考えると、そのためには自分の知識を更に高め、部下に示せるように行動を律する必要があると考えるようになります。それが「なりたい自分」の姿かも知れません。自分を律して業績を上げ、そして部下を育成できたら、なりたい自分よりも上のポストに就く可能性もあります。なりたい自分を超える瞬間です。それが達成感であり喜びになります。但し、取締役になったとしても、それが「なりたい自分」だとも思わないことです。地位やポストは結果であって、人として目指すべきものではありません。部長職にいるとしても一般的に3年程度です。社長になったとしても2期4年が目安ですから、その地位が長く続くものではありません。

最近伸びている某メーカーは、新入社員研修でライフプランニングシートを書いてもらっています。20歳前後の新人に、80歳までの人生を想像して紙に書いてもらっているのです。家庭を持つ、課長、部長、そして社長になるなどの目標を書いた後に定年後の人生が待っています。そこまで想像して書くのです。80歳でも社長で居続けると書く人はいないと思いますし、競争して他人に勝つと書く人もいないと思います。人生のゴールは地位や他人との競争ではないのです。人生のゴールにあるものは、なりたかった自分です。その本質は何なのか、ゴールに到達する前に考えておかないと、辿り着いてから「自分が目指した人生ではなかった」と思っても遅いのです。

心が満たされた状態でゴールするために必要なものは、人から受けた感謝の言葉で心のコップを満たしていることです。心を満たしてくれるのは、人からいただく感謝やお礼の言葉です。感謝の言葉は自分にとって嬉しかったことの体験です。多くの人からの感謝の言葉で心が満たされているなら、80歳のゴール地点では「なりたい自分」に辿り着いている筈です。「なりたい自分」を目指し捜す過程が、小さな目標を達成し続ける過程なのです。