コラム
コラム
2011/11/7
917    君は信じないのか

ある俳優が演劇の勉強のためにイギリスに渡り、数日間ですが演劇学校に入り指導を受けました。言葉の壁、そしてイギリスのミュージカルで通用する高いレベルの演技指導に悩み落ち込んでいました。言葉が理解できないこと、言葉が理解できないので演技もできないこと、感情を込められないことに悩んでいました。

ある日、演技指導の先生に対して、「もう私にはできない」と涙を見せました。先生は「できると思うからこの配役を与えているのです。できると信じているから役を与えているのです。できないと言うのは諦めることですよ。諦めることと諦めないことのどちらを選択しますか。私は君かできると思っていますから諦めないで欲しい。私が信じていることを君は信じないのですか」という主旨のことを話しました。

相手が信じていることを自分が信じない訳にはいきません。それから目が覚めたように英語で台詞を覚えていきました。そうしている内に、台詞の中に疑問を感じるようになりました。疑問を感じることは理解をし始めていることです。英語も演劇も何も理解できなかった日々の中においては、疑問を感じることはありませんでした。台詞を覚えることだけに必死で、余裕がなかったのです。それまで分からなかった英語や英語に秘められた感情が少し理解できると、この演技で良いのかどうか疑問を感じたのです。疑問を感じるまで自分で考え抜くことがそれを突破する秘訣です。簡単にできないと諦めてしまうと、そこまで到達できません。

考えて悩んで苦しんだ後まで諦めなければ疑問が出てくるのです。

「君は自分を信じないのか」。この言葉につきます。自分を相手にしてくれている人、自分に教えを享受してくれている人は、私には可能性があることを信じてくれています。その可能性を自分は肯定しなければならないのです。

困難な仕事でもできると信じることで、きっかけがつかめます。できないと思った瞬間から、その仕事は苦痛になり逃げ出すことを考え始めます。でもできると思って仕事を続けていると、みんなに相談していると、周囲は応援してくれるようになります。

周囲から「君はできると信じている」と思ってくれることは力になります。周囲が信じてくれていることは、自分も信じることができます。できるとできないの差はわずかです。

できないと思って結論を出そうとする時、「君はできる」と言葉を伝えてくれる人がいればその差を乗り越えられます。悩んだ末に一人で判断すると、できない方向に判断する場合が発生します。

本当に自分がやりたいことであれば自分で行動を起こします。直ぐに困難に直面します。そこでできると信じてくれる人が存在すること、そして自分がそれを信じられることが困難を克服し、再び行動に移すために必要です。

そして自分に向かって「君は信じないのか」と心の中で質問し、「私にはできる」と答えましょう。たくさんの魔法の言葉がありますが、「私にはできる」という言葉も強い力を齎してくれます。Yes I canで大統領になった人がいるのですから信じることにしましょう。