コラム
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2011/10/26
910    質の高い朝礼

毎週水曜日の朝7時から8時までの1時間、従業員さんに朝礼の訓示をしている社長がいます。聞かせてもらうと、訓示というよりも講座に近い内容でした。

「こんな素晴らしい話を1時間も聞ける何て幸せなことですね」と、ある従業員さんに話をすると、無言でそう思っていない様子がありました。もったいないことです。

もし私がこの社長に講演を依頼したなら講師費用が発生します。この社長は「受け取らないですよ」と言ってくれていますが、何かの対価は発生します。仮に講師費用として1時間1万円必要だとした場合、この会社の従業員さんは、毎週1万円の講座を「ただ」で聞くことができているのです。これを幸せと思わないなら、幸せを感じる機会は少ないのです。

しかし話をする立場の人はもっと大変なのです。その時期に応じた話を考えて準備しておく必要があること。話の中に、新聞や雑誌の記事から会社業務と従業員さんに役立つ情報を交える必要があること。そして1時間を有効に活用する話であったという満足感を感じられることなど、話の準備は大変なことです。これは人前で1時間話をした経験のある人なら分かることです。

しかも仕事の業績をあけることの話ではなくて、社会人として成長を促す話の内容になっているので、聞く立場の人はその気になれば勉強になります。

その時の内容は仕事の進め方についてのものでした。仕事はお客さんに商品を売るだけではなくて信頼を売ることであり、信頼関係を持てる取引が継続性のある仕事につながることを伝えていました。スポットもので良ければ売れる場合があります。しかし、それだけでは会社に永続性はありません。この会社から買いたいと思ってもらうためには、商品力も大切ですが担当者の資質も大切です。この会社から買うのは、あの担当者がいるからだと思ってもらえるようになりたいものです。

訓示を終えた社長と話し合う時間がありました。「和歌山にいると伝わってこない情報や、全国の動向が分からない場合があります。仕事に着手する前から不利になることがあります。それを解消するために、全国で仕事をしている人や会社の考え方を伝えたり、知っていれば役立つ生の情報を伝えています」と話してくれました。

例えば今日の訓示では、「日本人は信頼を大事に思って取引をしていた民族ですが、最近は儲けることが全てで、情や恩義、友人や信頼などは簡単に裏切る傾向にあること。そして上手く私達の持っている中で使える人脈を利用して自分の商売に活用しようとしています。それが平気にできるのです。但しそんな相手に対してまともに怒ってはいけません。自分もその相手と同じ低いレベルに落ちてしまうからです。自分だけ得をして人を裏切るような低レベルの人と同じレベルになることは、自分の周囲の人と付き合いできなくなります。その方が大きな損失です」と伝えてくれました。

自分のレベルを高めるとそのレベルの人との交流が始まります。自分が低レベルに陥ったら、やはりそれと同じレベルの人との交流が始まります。どちらが得か明らかです。