コラム
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2011/8/30
879    復習

勉強で一番大切なことは復習だと言われています。これは勉強だけではなくて社会人としても心得ておくべきことです。現在、活躍しているある医学者は、勉強をする際に本を読んで理解するために70回も読み返すそうです。つまり学んだことを70回も復習をしていることになります。通常、復習というと、習った直後に一通り読み返す程度だと思っていますが、厳しい社会ではそんなことはないのです。70回も復習をすることで教科書の理解が深まります。

そしてそれは誰でもできることではないのです。復習をするためには粘りが必要です。粘りとは性格にもよりますが、「絶対にやり遂げる」という使命感を持っていることです。諦めたらそこで終わりです。諦めないで絶対にやり遂げる強い意志を持つことが粘りなのです。粘ること位ならできると思っている人がいます。ところが実際に粘れる人は少ないのです。諦める、またはいつか実行しようと思う人は粘りのない人ですから、思いを実現することはありません。

そして復習を終えて実践する際に大切なことがあります。特に生死を賭けた仕事に直面する際に必要なことは、冷静さと勇敢さです。一瞬の判断が求められる時、冷静さを保ちながら勇敢な決断をすることがプロに求められることです。文系の人が生死を賭けた仕事に直面する機会は恐らくありませんが、医者の場合、常に生死と向き合っています。そのため判断力は最も大事な資質となります。

常に判断を求められる、しかも一人で判断しなければならない仕事は過酷です。医者もそうですが、政治家も同じなのです。最終は一人で決断を求められることが多いのです。

そして決断をしたことに対して責任が伴います。誤っていました。その時はそういう気持ちでした、という逃げ道はありません。社会で起きる事象の結果は、その事象の評価が固まってから示されます。政治家は結果を見てから判断をするのではなくて、結果が出ていない時点で判断をする必要があるのです。そこに厳しさがあります。結果が出てから評論したり批判することはとても簡単なことです。それは誰にでもできることです。

ところが結果が出ていない時点で責任のある判断することは、精神的にも厳しいことなのです。どんな判断をしても批評と批判をされます。私たちは物事を終えた後で復習をしています。結果と経緯を照らし合わせて、判断が正しかったかどうかの復習を行います。医者のように70回も行っていませんが、復習をして判断力を高める行為は欠かせないものです。

医科大学に勤務している医師の場合、自分が行った手術のビデオは必ず見ることにしているようです。それも一人で見るのではなくて、先輩の医師と一緒に見て批判をしてもらっているのです。自分が行ったことに対して復習すること、それが自らを高め、知識と技術を高める方法なのです。

社会人になっても復習の大切さは変わりません。一つの事情に対して70回復習をすることができたら、一人前になることは確実です。