コラム
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2011/8/17
874    次の試合

「次の試合はもうないんだってことだけですね」。夏の甲子園大会二回戦で敗れた福島県聖光学院高校の歳内投手のコメントです。福島県の夏は特別な夏ですから、観戦はしていなかったのですが応援していました。敗れた直後のインタビューで、こう答えています。聞く人の心に響く言葉です。

「次はない」。今まで頑張ってきたのに、次に挑戦する機会が永遠に閉ざされた時の気持ちが伝わってきます。どれだけ次に向かって頑張りたくても、次の試合はないのです。

これは人生において何度も繰り返されるドラマです。多くの場合、社会では次のない戦いをしています。私達はトーナメントのような戦いを繰り広げています。しかし仕事やイベントの場合、毎年同じように繰り返されることがあり、次の機会がないことに気づかないのです。今年の夏のプレゼンで破れたけれど、来年の夏は企画書をしっかり書いて仕事を取ろうと思うことがあります。来年もあるように思いますが、この夏の企画はこの夏限りのものなのです。

それにしても高校生の重みのある言葉です。三年間、それ以上の十年以上も野球の練習を続けてきた彼だから言える言葉かも知れません。本気で練習をして、本気で甲子園での優勝を目指していたと思いますから、その本気さが、次がないことの残念さを伝えることができるのです。

報道によると彼は、「日本一への思いを胸に強くした。冬を越して体重を10キロ増加し、連投できるスタミナを養った。福島大会で、決勝まで志願して3戦連続完投したのも、「予選でできなければ甲子園でもできない」。日本一を見越し、甲子園を戦い抜く体を作り上げてきた」ようです。

予選で出できないことは甲子園でもできない。その通りで人生に予選はありませんから、全て本番を生きています。本番を本気でやらなければ、勿論、次の機会はありません。本気でやっても次が訪れない日があるのです。ですが本気にならないと次の機会はありません。社会で生きていくには、本気にならないと乗り切れないのです。

18歳の高校生が次のないことを知った戦いをしたのです。社会経験のある大人が、いつまで経っても、次の機会があると甘い考えでいては駄目なのです。社会人ですから、高校生のように三年間という限定された期間での活動ではありませんが、この仕事、この舞台は一度だけで次はないという気持ちで行動したいものです。

議会活動も同じです。この議会は二度と訪れませんから、いつも全力を尽くしているのです。議会は年4回と見える姿として存在していますから、次の機会がないことは分かり易いことも要因で本気度は高いのです。年4回、4年間でわずか16回の本会議ですから、本気で挑んでいるのです。

これから先も、いつの時代も、同じ夏は繰り返すことはありません。生涯ただ一度の夏、ただ一度の季節を生きている私達は、この今の季節に全力を尽くしたいものです。

人生はいつも本番です。次の試合はもうないのです。