コラム
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2011/8/8
872    理想と現実

理想を持って会社を設立しようと思っている方がいます。設立に関する相談をいただきました。まだ経験が浅い方だったので、会社経営者にも同席してもらっての話し合いとなりました。

これから社会で活躍しようとする理想を掲げている人の話は楽しいものでした。しかし理想だけで通用する程、現実社会は甘くありません。理想を掲げている人に共通する問題点を記します。

語ることは出来ても具体化できていないことです。自分で会社を設立するに際して協力して欲しい旨の相談ですが、会社の内容、資金計画などがないのです。つまり語ることは出来ても形になったペーパーがないのです。聞くだけ話を聞いて、「では今の話を形にしたものはありませんか」との質問に対して「何もない」のです。つまり理想を紙に落とし込む作業が出来ていないのです。理想を実現しようと思ったら、絶対にそれを形にしなければなりません。人に話すだけで協力してくれる人はいないのです。

「会社を設立したいのだけれど協力して欲しい」と言われても、「では登記するための約款や必要書類はないのですか」と答える以外にありません。つまり話を聞いてもらって、実作業を手伝って欲しいということなのです。自分で実現したいことは自分で書類を作成して行動を起こすことが始まりです。最初のところの作業をしなければ何も進まないことを知るべきなのです。

最低限、話を具体化させた資料を用意しなければ何も進みません。福祉に理想を掲げている人は多いのですが、理想を語るだけではなくて、自分で行動を起こせる人でないと現実は変わりません。行動を起こせる人だけが理想を形にすることができるのです。

この点でスタートを切るには準備が整っていませんでした。

続いての問題点は陰の部分に焦点を当てすぎていることです。「今まで勤めていた会社の○○が悪い。△△も悪い。という話を聞きました。だから自分で会社を設立したいのです」という話でした。しかし陰の部分だけを語ってもそれは光に転化させることはできないのです。その会社に言われるような陰があったかも知れません。しかし社会で存続しているといことは、社会で必要とされるような光の部分もあるのです。陰の部分だけで会社は社会で存続することはないのです。どんな役割であれ、社会で必要とされているから会社は存在しているのです。

ですから陰の部分だけを見るのではなくて、光の部分を見てそこを真似ることからスタートさせるべきです。どんな会社にも光の部分はあります。その良いところを学び、新しい会社に装着させると良いのです。理想に陰の部分を取り込んでは光が入ってきません。

光の部分だけを理想に取り込むべきなのです。陰に光を当てるためには、陰の部分を批判していても光は射してきません。光を欲するならば、陰ではなくて自らが光となる必要があるのです。

理想を実現することの難しさを感じました。理想を持つことは大切ですが、理想を掲げるだけでは理想を具体化させることはできないのです。理想をペーパーに書いて話をすること。行動を伴わせること。世の中の光の部分を実現させるような考え方に立つことが必要なのです。

理想を現実にすることを思っている人は多いのですが、それができていないことが、現実にするためには高い壁が存在していることを示しています。理想を現実にするためには話をするだけでは駄目で、説明する相手に配れる位の企画書が最低限必要です。