コラム
コラム
2010/11/24
847 81歳

素晴らしい81歳の方と出会い、幸運なことに懇談させていただきました。貴重な人生経験の一部を聞かせていただき感銘を受けています。

彼女は、その昔、十代の時に田舎から和歌山市に出てきて、何も分からないところから生きるために仕事を始め、今日、成功を収めています。当時、女性が仕事で生きることは大変な時代であったと思いますが、人の気持ちを汲み取り元気に職場に送り出す役割を社会の中で見つけました。自社ビルを4つも所有する成功者となっています。

話を伺うと、盛大な人生という生き方が相応しいものでした。今も現役で活動していますが、今年になって考え方に変化が起きたそうです。友人の何人かが病に倒れて帰らぬ人となったことが原因です。

いつまでも若いと思っていたのですが、80歳を超えた自分を意識した時、人生の後半戦を生きるべきだと思い直したのです。つまり自分のための人生から、お世話になった人のための人生へと転換することが大事なことであると悟ったのです。

貯蓄したお金を一人の楽しみに使うことよりも、お世話になった大勢の方が集まって楽しめる人生が尊いということです。お互いに笑顔の耐えない時間は宝物になります。

限られた時間という宝物を、輝くものに仕上げるためには友人達との笑顔が必要です。笑顔のためにお金も使うし、空間を提供したいという考えです。後は夢に生きて死んで行く覚悟を垣間見ました。

ある時、胃癌が発見されたそうです。その月は3月でしたが、すべき仕事があったので同年の9月まで放置しておいたのです。それでも生きる上での役割があると信じていたため、きっと神様から守られていると思い手術をしないでおいたのです。流石にお医者さんから叱られたそうですが、やるべき仕事があったことから今も生を授かっています。

年齢と共に周囲がいなくなる。いつかこの世を去るのであれば、楽しい時間を共有したいと思います。笑顔で過ごせる一日は宝物です。81歳のTさんは笑顔の耐えない素敵な人でした。笑顔が幸福な人生を招いてくれています。そして他人のために尽くしている人生は、光り輝くものになると確信しています。

今日はTさんに会ったことが宝物でした。楽しくて人生の深さを感じさせてくれる話、客人をおもてなしする本気の心。そして今日の約束を楽しみに待ってくれていたと感じさせてくれる対応など、人と接することにかけては全てにおいてプロの領域でした。

それは当然のことです。今も元気に多くの人と会っているからです。40歳代や50歳代はまだまだ子どもだそうです。まだ人生を分かっている年代ではないからです。生きてきたと思える年代になって振り返ることができますし、他人を引き上げようと思う気持ちになれそうです。

「にいちゃん、ええ顔してるわ。世に出る顔や」と声を掛けてくれました。笑顔で今日のお別れの挨拶をしたのは言うまでもありません。