コラム
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2010/9/22
838 感謝の気持ち
セーリング競技で2012年ロンドンオリンピック出場を目指しているのがセラヴィ・セーリングチームの市野選手、吉見選手です。この二人のコーチをしているのが元関西学院大学ヨット部監督の河野コーチです。和歌山県からオリンピックを目指している若い選手が和歌浦を拠点にしていることを嬉しく感じています。
河野コーチも関西学院大学ヨット部出身で、当時の海徳監督から鍛えられた経験を持ちます。その海徳監督はヨット競技でヘルシンキオリンピックに出場した伝説の人なのです。
今、河野コーチが指導している市野選手は関西学院大学ヨット部出身です。関西学院大学のヨット部からオリンピックに出場すれば、伝説の海徳監督以来の出場となりますから、河野コーチとしては恩師への恩を返すためにも何としても出場して欲しいと思って厳しく指導しているのです。
コーチは残りの人生を市野選手に賭けると、厳しく、そしてやさしく話してくれました。
今までヨットに人生をかけてきましたが、残りの人生の集大成を市野選手と共にロンドンオリンピックを目指したいとしています。限られた時間の中で出来ることは少ないので、最後の挑戦をしています。

市野選手が河野監督のもとにやってきたのは「天の配剤ですね」と声を掛けたところ、「本当に神様が授けてくれたようなものですね」と答えてくれました。ヨットのコーチ人生の最後に神様が贈り物をしてくれたのです。「市野と一緒にオリンピックの夢を見ることが出来ている現在が幸せです」と話してくれました。
きっとロンドンオリンピックに出場できるものと確信しています。その練習できる環境が和歌山県にはあります。

ところで河野コーチが市野選手を見初めた点について伺いました。その答えは次のようなものです。
実は一級品の選手は技術力や精神力ではそれほど差がないのです。では最後に勝てるか勝てないかの勝負の時に差となって表れるものがあります。それが感謝の気持ちです。両親や支えてくれている人、コーチへの感謝の気持ちを持っている選手は、最後の最後で伸びて勝ちます。才能があっても、一人で勝てると思っているような選手は代表選手にはなれません。選手が感謝の気持ちを持っていることで、コーチや周囲が動いてくれます。動くことは勝つために動くのですから、選手を支えて全員で動けるチームはまとまりがあり、強くなります。
勝負を決めるのは感謝の気持ちを持っていること。世界レベルのスポーツ大会でも感謝の気持ちが必要なのです。他の選手を蹴散らしてでも勝とうとする選手のもとには栄冠は届かないのです。
市野選手は、素質は勿論ありますが、そんな感謝の気持ちを知っている選手だそうです。
技術、精神力に加えて感謝の気持ちが勝つための三要素なのです。