コラム
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2010/9/2
835 反復訓練
和歌山県の硬式野球部の強豪高校の智弁学園和歌山高校。野球部の高嶋仁監督が地元中学校で講演を行いました。中学生向けの講演会だったのですが、大人も見習いたい教訓がありました。

智弁学園和歌山高校は昭和55年設立ですが、設立当時の部員は3名だったのです。それを15名にして練習試合を行ったのですが、30対0の負け試合でした。今の智弁学園和歌山高校からすると信じられない敗戦です。悔しさで泣いている選手を見た監督は、「これは強くなれる」と思ったそうです。悔しさは人を強くするからです。選手が自主的にグラウンドに来るようになって、技術を吸収していったそうです。心構えができるとチームの雰囲気が良くなり強くなっていきます。強くなると意欲が出ますからやる気が出て、そこから言葉遣いまで変わってきたそうです。
言葉遣いが良いということは態度が良くなります。つまり態度がよく礼儀正しい生徒が練習することでチームは強くなっていくのです。態度が悪くて言葉遣いもなっていない、心が育っていないチームは強くならないのです。
そして練習内容を聞いて驚きました。智弁学園和歌山高校野球部は強いはずです。練習は反復練習が中心となります。毎日、腹筋1,000回、バットスイング1,000回を続けているのです。一日でも休むと駄目だといいます。一年間、毎日、腹筋と素振りを1,000回続けている選手に、それを実行していない野球部が勝てる見込みはありません。反復練習を行っているチームが強いのは当然のことです。
普段運動をしていない大人にとって、年間の合計で腹筋1,000回を実施することでも大変な覚悟が必要ですが、高校生がそれをやり遂げているのです。毎日、反復訓練を行えるのは強い意志を持っているからで、その強い意志は甲子園出場という大きな目標に支えられています。子どもの頃からの夢を達成したいからこそ、反復訓練に音を上げないで取り組むことができるのです。小学校から野球を始めている生徒だったら、高校生に入学した時には、野球を10年も続けていることになります。10年も練習を継続してきた意志と目標があるから、厳しい反復訓練に耐えられるのです。
高校生と言っても、10年間も毎日のように野球の練習を続けてきたプロなのです。大人であっても、10年間毎日継続していることは少ないと思います。10年間、毎日続けられている何かがあれば、私たちはその道のプロになっているはずです。
プロとは、10年間ひとつのことを継続してきた人のことを指すと聞いたことがありますが、智弁学園和歌山高校で甲子園を目指している選手たちは、10歳代の若さで、既にプロとも呼べる練習を行ってきたのです。そして今日も休まないで腹筋や素振りを続けています。飲み会があるから今日休もうだとか、明日は休日なのでゆっくりしようと思っていてはプロにはなれません。
毎日同じことを繰り返すことが目標に近づくために最低限必要なことであり、続けられたら自分で選んだ目標を達成できるのです。反復訓練以外、他にありません。