コラム
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2010/6/7
821 道
平成22年5月末でこれまで勤めてきた会社を退職したOさん。能力がある人なのでとても残念なことなのですが、これから進むべき道を見付けたようです。本人が最も辛くて厳しい決断を下しているのですから、第三者の立場の者は決断を後押しするような激励をすることしかできません。少なくともブレーキを掛けるようなことはしたくありません。

Oさんの企画能力は素晴らしいものがあります。和歌山県のある地域のイベントのひとつとして、スターバックスと合同で開催したいと依頼を受けたことがありました。それまでは体育館を使っての産品を扱うだけのイベントだったのですが、この地域にスターバックスの店舗がないので、「この地の人においしいコーヒーを届けたい」との思いから、企画の相談に来てくれました。

商売ではなくて地域の皆さんに会社が受け入れられるような提案書だったので、スターバックスの知人にお願いをしました。協議した結果、和歌山県内のその地域に、スターバックスが出張店舗として来てくれたのです。その地域でスターバックスのコーヒーが飲めるのは初めてのことで、イベントに参加した皆さんが大変喜んでいたと結果を聞きました。

「イベントでスターバックスと組めるとは思っていなかったのですが、実現させたことと皆さんが喜んでくれたことで自信を持ちました」とイベント終了後に話してくれたことが記憶に残っています。

その時、お礼に伺ったスターバックスからも、「企画がしっかりしたものですし、お店のない地域の皆さんにスターバックスのコーヒーを味わってもらえたことは当社にとっても意味のあることでした」と感想を伺いました。

主催者とお客さん、そして協賛者の全てが満足したイベントになったのは、Oさんの企画力と熱意の賜物です。

もうひとつの出来事は、大手スーパーとの共同イベントの企画に関してのことです。そのスーパーを知りませんかと問い合わせがあり、企画を持っていくことは可能ですと伝えました。通常の方であれば、簡単なパンフレットを持参して説明することから始める場合が多いのですが、Oさんは違っていました。一回の説明で全てを伝えることを目的とした提案書を作成してきました。

最初の面談と説明で、共同イベントを実現させたいという気持ちがこもっていました。

このように熱意溢れるoさんとの仕事は楽しいものでした。同年5月中旬、Oさんから「今までのお礼に伺いたい」と連絡がありました。残念なことに予定が詰まっていたので、その時は会えませんでした。何時でも会えると思っていたのですが、その翌日電話をいただき、その会社を退職することを知りました。

本当に驚きましたが、Oさんは常に前向きです。本当に自分の生きたい道を見つけたようです。話をしていると、これからの挑戦に自分で期待しているような活き活きとした言葉が返ってきました。言葉が生きていますから、これからの新しい道でも成功すると確信しています。