コラム
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2010/5/31
820 活力注入
始めて香港に伺いましたが、この地で学んだことは数え切れません。ここで行ったのはタフなミーティングでしたが、そうして友人としての関係がより深くなったと感じています。ミーティングを実施した相手のトップの方から、「片桐さんがいるから決めた」と話してくれたことは何よりものお土産です。これに答える責務が発生したと強く考えています。

素晴らしい彼らは、「私達が大切にするものは友人です。お金よりも友人を信頼しています」という考え方を持っています。競争が激しい香港において、ビジネスで大きく成長している秘訣は友人を最重要に考えているからです。お金は取り戻すことができますが、友人関係は維持しておかないと回復させることは困難です。お金を失っても友人に囲まれていると再起する可能性がある。そんな真実を発見させてくれました。
良くある外交での友好関係は本物ではないこともあります。友人関係に基づく外交の成果はありますが、儀式的な式典で信頼関係を構築できるかどうかは疑問です。本当に大切なことは、友人が固めた基礎があって初めて、お互いの代表者が表に出てきて握手をすることです。それまでの友人としての信頼関係に基づく過程が重要であって、結果はそこから導かれるものです。

そしてもう一つの言葉。「明るくやりましょう。どんな時でも問題は発生するものです」。
素敵な哲学的な言葉です。順調に思える仕事でも、困難に思える仕事でも、やはり問題は次々と発生してきます。そんな時は落ち込んでいては前に進みませんし、暗い顔をしていると余計に問題は深刻化します。問題が発生しても明るく振舞うこと。それが危機を脱出する秘訣です。香港が活力に満ちているのは、明るい顔をした人がここで働き暮らしているからです。

  それにしても、香港での経験は刺激的でした。一緒に行った方は、「日本でゆっくりし過ぎました。彼らのより遠くに行こうとしている姿と比較して、ゆっくり歩いていたことを残念に思っています。彼ら以上に遠くを目指したいと思っています」。これも素晴らしい決意です。
刺激を受けて心に化学反応を起こさせることは、自分以外の誰もできません。平和な国日本にいると刺激が少なくなります。香港のような活力あるまちで、刺激的な友人と協議しあうと世界を実感します。覇権を目指している中国の力を垣間見たような気がしています。そこには民間を国家が支援している姿があります。税制や規制で国が企業活動にブレーキをかけているわが国とは事情が違い過ぎます。中国の経済特区は経済活動において自由な国です。アメリカの顔色を見ているわが国とは自由度が違います。
「日本は自立した国にならないと」という言葉の重みも感じました。何時の間に、自由主義国家であるわが国がこのように思われるようになったのでしょうか。社会のしくみを言う前に、国家感を失った私達国民に責任があるように思います。
私達には、ゆっくりしている時間はありません。心を目覚めさせて、世界を意識した日々の活動に転換させたいと考えています。日本の中の和歌山県ではなくて、世界の中の和歌山県という意識で成果を求めて行きたいところです。
買うことのできない経験を与えてくれた、出会った全ての人に感謝しています。港湾にあるために霧がかかった日の多い香港。最終日も青空のない霧の立ち込めた曇り空でした。