コラム
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2010/4/19
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和歌山県庁の職員さんの総数は約4,000人だと聞きました。皆さん仕事に熱心の方ばかりで、専門職らしい知識を持ち合わせています。県民である私達の生活を守ってくれている存在だと心強く思っています。

さて数人の職員さんたちと懇談する機会がありました。中でも、土曜か日曜にも出勤して仕事を行っている方がいました。「責任のある仕事なので、将来への道筋をつけたい」という思いが伝わってきました。仕事内容を聞いていると、和歌山県だけの課題ではなくて国全体の課題を扱っていて、将来のわが国の存続に関わるような課題でした。ただ近年に大きく動くことはないので、この課題に関しての担当は一名だけです。

それだけに和歌山県庁において、この課題の専門家は一人だけだという責任感を持って仕事をしてくれていることは勇気を受け取れることです。

そんな中、「4,000人の中の一人の仕事だから、気軽に考えたら良い問題」だという意見がありました。これは肩に力が入っているので、もっとリラックスして仕事をしたら良いという先輩からのアドバイスでした。

しかし一人の方は、仕事は4,000分の1ではないと思います。全ての人が責任を持った仕事を行っているのですから、私は「それは1分の1の仕事ですよ」と話をしました。私は4,000分の1の仕事をしているのだと思うのと、私は1分の1の仕事を任されているのだと思うのでは、仕事に対する責任感とやり甲斐は違ってきます。

1分の1の仕事の場合、この仕事のプロは私だから全ての過程において責任を持つことを意識します。1分の1の仕事は最終責任者の県知事の責任と同じ重さを持つものです。担当者だとしても、この仕事に対する責任を感じながら取り組みたいものです。

もし4,000分の1の仕事だからと思ってしまうと、自分がやらなくても県の仕事への影響は少ないものになってしまいます。影響の少ない仕事だと思うと、担当を任された一年間を無難に終えようと考えたくなります。それでは良い仕事はできませんし、やり甲斐も感じることはできません。担当する人がやり甲斐を感じない仕事をした結果に対して、賛同する、或いは感動する県民の人はいません。

まして今回のような国レベルの課題の場合、和歌山県がどれだけ熱心に取り組んだとしても国政を動かせることは困難かもしれませんが、それでも県の経済力程度の100分の1位の力は発揮できると思います。

100分の1も国を動かせたら、それは大きな仕事です。本気に仕事をすれば、もしかしたら少しでも国を動かす力になるかも知れないのです。和歌山県が本気に取り組まないならば、国を動かせる推進力はゼロです。

その推進力の根本は県の担当者が握っています。県の担当者の仕事の意識が4,000分の1であれば、和歌山県での影響力は全くない状態に等しくなります。しかし1分の1の意識の本気の仕事をしていたら、和歌山県全体の意識も1分の1、つまり県の総意になる可能性はあるのです。1分の1の仕事をしている素晴らしい担当者に出会えて幸運でした。