コラム
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2025/4/21
1976
令和6年度向陽高校卒業生に向けた言葉「卒業式前日の案」

皆さん、卒業おめでとう。同窓会長として皆さんに最高の一日にメッセージを届けられる今日の卒業式を楽しみにしていました。

僕も卒業式のことは昨日のことのように覚えています。教室で同級生とおしゃべりして体育館に入場、そして再び戻ることの出来ない3年F組の教室に戻り、いつまでも別れを惜しみました。この日のことを皆さんは何歳になっても宝物として持ち続けることになります。これから始まる真の人生の原点となる日だからです。

さて僕からも皆さんに、松本校長先生が過年度の卒業生に語った言葉を紹介します。

「もし私が他の人よりも遠くを見渡せたのだとすれば、それは巨人の肩の上に立っていたからだ」。多くの人が語っている言葉ですが、有名なのはニュートン、でも僕が知ったのは松本校長先生からです。

学問や社会生活では、先行研究や過去の結果を調べ、知の最前線を理解した上で自分の考えや発見を付け加えていきます。時代は個人の知を積み上げることで発展し、新たな知を次の世代へと引きいでいくのです。

ですから僕が卒業した時よりも、卒業生の皆さんはもっと高いところに立って物事を見ています。学力も知識も時代の進歩も全てです。確実に皆さんの方が高いレベルの知識を持っていますし、高いレベルの会話ができています。先輩が積み上げてきた知の集合体が巨人の肩であり、その一番高いところにいるのが皆さんです。

僕も先輩が築いてくれた肩の上から人生をスタートさせ、小さい一歩ですが確実に当時よりも社会を進歩させてきたと自負しています。周囲の方々に応援してもらって、素晴らしい時を刻んでいます。卒業したのは40年以上も前のことですが、あの時は不安と期待が交錯し見通せなかった未来に生きています。あの時に想像していた以上の素晴らしい未来が現在です。この先10年の未来も切り拓いていけると思います。

ところが残念なことに40年先、50年先の未来を見ることも切り拓くことも叶いません。でも卒業生の皆さんは50年先の今よりも素晴らしい未来を見ることもできますし、未来を生きることもできるのです。本当に羨ましいなぁと思います。

社会は大きな流れですから個人の力はたかが知れています。でも皆さん一人の力がなければ自分が描く未来と違った社会になってしまいます。高校の三年間で身に付けた知識と知恵をこれからの日々の中で発揮し、自分が思い描く一日を、思い描く未来を作り出してください。先生方や僕が見ることの出来ない50年先の未来を作って、素晴らしい人生を生きてください。

今日、卒業する皆さんは、先輩たちが過去から積み上げてきた歴史の最先端に生きている最も優秀な卒業生です。4月から新しい生活が始まりますが、向陽高校で学んだ知を更に積み重ね、世界をつかめるような幸せな人生を刻んでください。卒業おめでとう。