コラム
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2022/6/22
1880    1/2の確率

外国の事業者の方から「世の中に1/2の確率はない。事業も1/2の確率を考えて組み立ててはいけない」という話を聞かせてもらいました。「1/2の確率」はよく言うことですから「えっ」と思いました。

確率を1/2に近づけていくためには何万回、何百万回同じことを続ける必要があるそうです。例えば「バカラ」ゲームの場合も勝つ確率は1/2ではないということです。1/2の確率だと思って、全ての勝負で同じプレイヤーを選択した場合、決して勝ち負けの繰り返しではありません。勝ち続けることもあれば負け続けることもあるのです。100回勝負した場合、1/2の50回勝つとは限らないのです。

但し100万回勝負したとすれば50万回勝っているかもしれません。回数を重ねるほど、限りなく1/2に近づいていくからです。

この事業者に対して「100回勝負した場合の確率をどう見ているのでしょうか」と尋ねたところ「勝負は49対51と見ています。運が良ければ51回勝ちますし、運が悪ければ49回勝つと考えて事業を設計しています。決して50回勝つ、つまり1/2とは見ていないのです」ということです。

そこで「では51回勝つのか、49回勝つのかを判断することはできるのですか」と尋ねました。回答は「それは分かりません。どちらに転ぶのかは運次第ということです。どちらに転ぶのかは全くの運として判断するのです」ということでした。

100回の勝負で51回勝つことが出来れば勝ち越せるのだから「全勝を目指す必要はありませんし、1/2だからと考えて勝ち負けを読む必要もありません。最後は運ですから」という答えでした。

少ない回数の勝負の場合、差がつくこともあります。回数を重ねるに連れて1/2に近づいていくようですが、ここで問題があります。つまり運悪く勝負で負けが続いた場合、ある程度までいくと49回勝つことも可能ですが、勝負し続けることはできないことが問題なのです。

「バカラ」の場合、資金が続けば100回、200回、1,000回と勝負を続けられると限りなく1/2に近づきますが、負けが混んできた場合、資金が続かなくなるのです。潤沢な資金と体力があれば100万回続けると勝ち負けの差はなくなりますが、「それだけ勝負を続けられる人はいません」ということなので、100回や1,000回の勝負で勝てる保証はありません。

ですから「勝負は1/2の確率」という幻想を持たないことです。ジャンケンでも2回勝負して2回勝つこともあれば、2回負けることもあります。2回の勝負でさえ確実に1/2になるとは限らないのです。

ではこの事業者の人が言うように勝負は「49対51になることを念頭に置いて考えることが勝つために大事なのです」となります。しかしどれだけ考えたとしても、最終的には「運次第」ということになるようです。運を試すという娯楽として楽しむなら良いと思いますが、人生を賭けるような参加の仕方はやめる方が賢明だと思います。

多くの場合に確率1/2はなく、確率は限りなく49対51に近づいていくと考えて対処することでリスクを回避できるかもしれません。