コラム
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2022/4/4
1876    国際感覚の凄さ

アメリカを始めとする国々でビジネス経験のある方と懇談する機会を得ました。ここで国際感覚とはどんなものかを実感することが出来ました。

話の途中で現在進行中の事業計画を見てもらったところ、次のような意見を聞かせてもらいました。

参加企業はアメリカでも政府に信用のある有数のところです。こんな企業が参画する事業が計画されていることに驚いています。一言で言うと、和歌山県のステージは国内に留まらないで世界に移ります。世界レベルのところにステージが上がるので、日本の和歌山県ではなく世界の和歌山県となります。他の府県がこの計画を知れば和歌山県のことを羨ましがりますよ。この計画は世界が求めているものなので、和歌山県は夢の世界に突入することになります。和歌山県には世界中からビジネス関係者が訪れることになりますから、違う次元に入りますよ。

という意見でした。

ここで驚いたことがあります。事業計画の中の参加企業と参加者リストを5分程度見ただけで、事業と参加企業の「凄さ」を理解してくれたこと。これが国際感覚です。「この人は政府にもモノが言える相当の実力者ですね。この人物が参画するとは信じられないほどです」と答えてくれたことに相当驚きました。

語ってくれた人物の姿と実力の背景、そして事業に投資する資金の流れを推測する力に相当驚きました。「きれいな資金の流れになっているので心配はいりません。私も参画させてもらいたいぐらいです」と話してくれました。

国際感覚がある人は世界を知っているので、丁寧に説明しなくても全体を鳥瞰してくれ理解が早いのです。

続いて商社マンと懇談したときの意見です。

地球温暖化の影響で台風の進路が変わりました。台湾は元々、水資源に関しては台風の恩恵を受けていました。台風の進路が変わったことにより台湾は水不足に陥っています。

水が不足すれば半導体の製造に支障があります。まずは飲料水や生活用水として使用が優先されるべきなので、工業用に回せる水は限られています。

また台湾は対中国との問題があります。コア技術を護るために国外移転を考えているはずです。アメリカに工場を計画していることや日本に進出することもその表れです。但し現在のところコア技術の移転はしないと思っていました。時代遅れの技術なら移転させるようですが、流石にエースは国外に出さないだろうと考えていました。ところがエースが動くとなると話は別次元に入ります。半導体製造の技術のエースとは5ナノから10ナノレベルの製造技術のことを指していて、それ以上の大きさの半導体は自動車に使える程度なのでレガシーと呼ばれています。

このエースを送り出す場所は地政学的に優れたところが候補地になります。アジアとの交流の利便性が高いところ。国際空港に近接しているところ。ビジネスジェットが発着できる空港があるところ。恵まれた自然環境と歴史の裏付けのある文化があるところ。広大な土地が確保できるところ。雇用できる人材がいるところ。水があり温暖で住みやすいところ。本国から比較的近くて政情が安定しているところ。

これらがエース級の技術移転をしても良いと考えるための条件です。日本国でこれらの条件を満たしている県が選ばれることになります。もし和歌山県が選ばれるとしたら相当の実力者がいるか、和歌山県の優れた点を相手に正確に説明できたかのどちらかだと思います。

と話してくれました。

しかも外国人は「環境はお金で買うべきものではない」という価値観を持っているのです。つまり環境の良い場所で働くことが価値であり、環境保全や環境を変えることにお金を出すのではなくて、そのままの環境の中に溶け込むことを求めているのです。環境破壊をしないこと、環境はお金で買えないことを理解して、それを守るべき価値としているのです。これらは欧米人の価値であり、台湾人の価値でもあるのです。

世界の和歌山県としてステージを上げることができるのか。それとも現状のまま沈みゆく県であり続けるのか。将来を選択する時が訪れています。そして和歌山県は世界レベルの位置で仕事ができるのかなど、国際感覚があるか否かが試されているのです。