コラム
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2022/3/8
1872    ブルーマウンテンNO1
ブルーマウンテンNO1

闘病、現在、自宅療養中のYさん。自宅にお見舞いに行ったとき「コーヒーが好き」だと聞いたので「この間、ブルーマウンテンNO1っていう珈琲をいただいたのですよ。香りが凄くて透き通った味がしました」と話したところ「ブルーマウンテンはうまい珈琲ですね。香りがいいしね。NO1はその中でも最高の珈琲ですね」と答えてくれたので、「次回もお見舞いに来るときは持ってきます」と伝えたのです。

Yさんは「もうしんどくて珈琲は飲んでいないのです」と笑って応えてくれました。

そこで令和4年3月5日、「ブルーマウンテンNO1」を取り扱っている珈琲の樹で理由を説明したところ「香るようにコーヒー豆を挽きます」と無償で提供してくれたのです。「人助けの行為にお金をもらえないです。私のお店は商売よりも、珈琲を楽しんでもらって人との交流の場だと思っています。Yさんのことを想っての行為を応援するのは当たり前のことです。私も人助けが一番だと思っていますから。人が喜ぶことを優先しますからお金はいらないです」と話してくれたのです。

そんな気持ちの入った挽きたての珈琲をYさん宅に届けたのです。Yさんとご家族は袋から広がる最高の香りを楽しんでくれました。Yさんは「最高の日やなぁ」そして「忙しい中、こうして来てくれるなんて最高の幸せです」と喜んでくれたのです。幸せに感じるのがこちらも同じなのは、気持ちを共有できることが幸せなことだからです。

前回、お見舞いに来たときよりも少し体調の具合が良くなったことが気になりましたが、会って言葉を交わすことがどれだけ嬉しいことなのかを感じることが出来ました。

そして「隣と揉めているときは腹が立ったけれど、それを解決してくれて平穏な日々にしてくれたお陰で、こうしてベッドで横になっていられることに感謝しています。隣と揉めていたならこんなにゆっくり横になれなかったですから、本当に感謝しています」と話してくれたのです。

「これで最後かなぁ」と言うので「そんなことはないですよ。来週もその次の週も来ますから。元気でいてもらわないと困ります。来週、都合の良い日を言ってください」と伝えたところ、Yさんの目から涙が光るのが見えました。

このとき「ブルーマウンテンNO1」の香りが感じられました。明日、珈琲好きのYさんがこの珈琲を飲めることができたら嬉しいことです。

Yさんが「ブルーマウンテンNO1」の香りをとても喜んでくれた報告をするために「珈琲の樹」を訪ねました。「良かった、嬉しいです。実は、明日どうしても某ホテルで食べたフレンチトーストを食べたいと言う癌と闘病中の人がいるので、今から作り始めているところです。あのフレンチトーストを作るのは24時間かかるのですよ。知り合いから紹介してくれた人なので応援したいと思って作っています」と話してくれました。

こんな話を交わしている中で思ったことがあります。人助けは難しいことをやるのではなくて「会話をする、一緒に食べる、自分が出来る範囲でその人の願いを叶えてあげることではないだろうか」と思いました。やがて誰のところにも、当たり前と思っていることが当たり前でなくなる日が訪れます。自分にとって当たり前のことでも、そうではない人がいるのです。心で感じた「やれることをやる」。それが私達にとってのNO1です。