コラム
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2022/2/22
1870    ゲット・バック

ザ・ビートルズ「ゲット・バック」ルーフトップ・コンサートを鑑賞しました。「これは絶対に観なければ」と思って岸和田市の「IMAX劇場」に行ってきました。このコンサートは1969年1月30日のことだったので、今から53年も前の出来事ですが全く古さを感じさせません。それどころか今ここでライブを行っている感じがありました。

僕が初めて買ったアルバムが「Let it be」でしたが、もう解散した後だったので、このコンサートを観ることができる日が来るとは思ってもいませんでした。アルバムの音が蘇ったことは言うまでもありませんが、コンサートの音を聴くとさらに良さを感じることが出来ました。

おもしろかったのは、地元の警察が周辺からの苦情により「騒音だ」と言ってビルと屋上に入ってきたことです。ビートルズの音楽を騒音だと言った人がいた時代があったのです。もしもの世界です。現代においてビートルズが屋外コンサートをした場合、誰が「騒音」と苦情を言うのでしょうか。多くの人が拍手喝采になることは必至です。

ビートルズでさえ納得のいくまで何度も演奏を繰り返す姿は新鮮な驚きですし、私達と同じように悩み苦しみ、そこから抜け出そうとしている姿勢に感動しました。何度も繰り返して演奏をした「Get back」や「Don't Let Me Down」は、そのタイトルだけで涙ものでした。それどころか「Get back」「Don't Let Me Down」の言葉はビートルズが自身に伝えたい叫びだったように感じました。

また高校生の頃はレノン=マッカートニーこそがビートルズだと思っていましたが、この映像を観て「四人がいてビートルズだ」と思いました。ジョージのギターもリンゴのドラムも実に最高でした。ビートルズの未発表のライブを観ることのできる凄さ、楽しさ、そして感動は体験した人でしか分かりません。そこには伝説のバンドではなく、その時に存在していたバンドの等身大の姿があります。

そう、ビートルズもまた決して特別な存在ではなく、その時を全力で生きたバンドメンバーだったのです。

映像の中のジョンの言葉です。「グループを代表してお礼を申し上げたいと思います。私たちがオーディションに合格していることを願っています」そしてリンゴは「悪くないバンドだね」。

メンバーがこんな言葉で伝えられるビートルズは本当に凄いと思います。自分達がやり遂げたことに自信があったから言える言葉です。もし「オーディションに受かるレベルにないバンド」や「つまらないバンド」であれば、このような言葉は言えません。午後7時45分から9時までの時間、僕の中では最高のバンドのライブに浸りました。

令和4年2月10日、羽生結弦選手の「クワッドアクセル」への挑戦とビートルズのルーフトップ・コンサートを観ることができました。羽生選手も努力が結果に結びつかないことに苦悩と不安を抱える人間であり、ビートルズもまた苦悩と不安を抱えた人間だったのです。苦悩や不安を抱えながらも、結果を出すため懸命に努力をした人間だったのです。

ふたつの歴史的出来事に感動した一日でした。