コラム
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2021/10/5
1856    マイウエイ

ピアノのY先生の演奏を聴く機会がありました。舞台で弾いていた先生が突然「片桐さん、私の演奏で歌ってください」と声をかけたのです。他にも少数ですがお客さんがいたので引っ込むことが出来なくなりました。困って選曲していると、先生が「『マイウエイ』を演奏しますから歌ってください」と舞台から声をかけてくれました。

「マイウエイ」は名曲なので聴いたことはありますが、これまで歌ったことはありません。しかしピアノの演奏が始まったので舞台にあがり歌うことにしました。

歌えると思ったのは、その時に高校一年の時を思い出したからです。文化祭で当時の三年生が学生ホール前で歌詞を配っていました。僕もその紙を受け取ったのですが、そこに書かれていた歌詞が「マイウエイ」でした。「今、船出が近づくこの時を」から始まる歌詞を読んで「素敵な曲だなぁ」と思いました。

その時、深くは分からなかったけれど「来春、卒業する三年生は最後の文化祭の思い出として、クラスのみんなで歌う歌なんだろう」と思ったものです。寂しさがあるけれど決して後悔のない高校生活をこの歌で表現しようとしたと思います。

Y先生のピアノ演奏が始まった時に、何故かその時に三年生から受け取った歌詞が蘇ってきたのです。ピアノが歌に合わせてくれたので歌いやすく、気持ちよく歌いきることができました。

この時に思ったことです。「知らないうちに年を重ねて、この歌の意味が分かる年齢になってきたんだなぁ」と。人生を振り返る歌ですが、僕も人生を振り返るだけの経験をしてきたことや出会いと別れを経験してきたことから、少しは意味が分かるようになっていたのです。これは名曲中の名曲ですから、どれだけ数多くの人が歌い、奮い立ってきたことでしょうか。若い人が重みを持たせて歌える歌ではありませんが、この年になると歌える歌だと思います。

このピアノ演奏で歌ったことからオリジナルを聴いてみたくなって、フランク・シナトラの「you tube」を聴きました。力強く堂々と歌い上げる深みのある声は、後悔のない人生を表現しているようでした。

そう、人生は戻れないことに氣づいた時から、今日を後悔のない日にすることを心掛けなければと思います。引き続き「you tube」を見たところ、驚くほど多くの有名な歌手がこの曲を歌っているのです。それぞれが自分の人生を歌詞に乗せて歌っているように感じます。

そう、思い出して微笑みたくなれたら素敵なことです。それは自分なりに頑張った結果、得たものに微笑みたくなるのです。

今、「頑張ったなぁ」と思い出せることは、英語の試験を突破してアメリカ渡航研修に合格したこと。青年部のリーダーとして毎年8月に「1000人規模のキャンプ」を企画して成功させたこと。企画、準備などに約半年をかけて実行しました。大沼公園、本栖湖、名古屋、沖縄の参加メンバーに選ばれて、全国から集まった人たちと交流できたこと。ジャパンエキスポ南紀熊野体験博で博覧会広報の仕事をやり遂げたこと。全く無名の人間が和歌山市議会議員選挙に挑戦して当選したこと。続いて県議会議員選挙に挑み当選したこと。

まだありますが、これらが「僕のマイウエイなのかなぁ」と思います。