コラム
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2021/8/2
1817    練習と苦悩

偶然見たドラマで紹介されていたのが「走りの学校」の和田賢一さんです。100メートルを10秒台で走るために単身ジャマイカに渡り三か月間、ウサイン・ボルト選手の所属する陸上チームの練習を受けてきた経験を伝えていました。

技術的な面は専門家ではないので分かりませんが、そこで得たものが凄いのです。 100メートル走の世界記録保持者のボルト選手は才能だけで走っていたのではないということです。一緒にトレーニングをして分かったことは次の二つです。

  1. 誰よりも練習を続けていること。
  2. 限界を超えるための練習をして苦悩している姿を見かけたこと。

ドラマでこのボルト選手の姿を聞いて「同じ人間じゃないか」と思いました。人類最速の選手が私達と同じなんだと思うと、人は特別なことをするのではなくて当たり前のことを続けられる精神力と粘り強さ、そして苦悩を乗り越える力が必要だと教えられました。

決して面白くない練習を続けるには強い精神力が求められます。更に諦めないこと、続けることを苦しまない精神が求められるのです。そしてタイムが伸びないこと、限界を超えられないこと、体力も精神も苦しい状態に陥ることなどの苦悩に満ちる時間が訪れます。そこで諦めることなく、限界を感じる心を克服して自分を信じて立ち上がれる心の力を持つことが必要だと教えられました。

100メートル走だけでなく陸上界のレジェンドの選手が私達と同じように、練習を日々繰り返し、苦悩に満ちた時間を抱えているのです。もし才能と呼べるものがあるなら、練習を続けられることと苦悩を克服することが世界一の選手の才能かもしれません。

ですから平凡な人がすべきことは特別なことではありません。やり遂げたいことがあるなら、そのための練習を毎日繰り返すこと。練習をしても一気に上手になることはないので、上達を感じない時間が続いても決して諦めないで練習を繰り返すことです。

そして苦悩が訪れた時は自信を無くしますし「もうダメなんじゃないか」と思いますが、その不安を克服する精神力を持つことです。尤も、このように書いてしまうと簡単ですが、やり遂げることは難しいことです。

そのために信じるべき言葉を和田賢一さんのページから見つけました。ボルト選手の口癖でありジャマイカチームの選手の皆さんの口癖でもある言葉だそうです。

“If I want to be, it’s up to me.”
(なりたい自分がいるならば、なれるかどうかは自分次第だ)
ボルト選手は、この言葉を一日に何度も何度も繰り返して声に出していたという話です。練習場の見えるところにこの言葉を書いた紙を貼っていて、所属する選手は声を出して自己実現につなげているようです。きっと今も繰り返されていると思います。ところで和田さんは当初、日本の陸上チームに指導のお願いに回ったのですが「走りは才能だからね」などすべて断られたそうです。ところがジャマイカチームに行って「10秒で走りたいんです」と言ったところ、ジャマイカチームのコーチは「ここは世界一を目指しているチームだぞ。できるに決まっているだろう」と答えたそうです。
「できる」か「できないか」、「頑張れる」か「頑張れないか」と言葉の力によって違ってしまうのです。