コラム
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2021/7/30
1816    映画の主人公

アクション映画やスパイ映画を好んで観ます。これらの映画に共通していることは、前半の導入部分では謎の正体や誰が敵なのかが分からないこと、そして強大な敵が現れて歯が立たないで後半に持ち越すという展開です。

主人公は困難にぶち当たり不安や葛藤、謎が解けないことなどから行く道がどこにあるのか迷います。しかし仲間の励ましを受けて強大な敵に挑もうとします。立ち向かう覚悟を決めた時から謎が解けるようになり、物語の展開の速度は速まります。後半は一気に進んでいくように感じるのは主人公の動きに勢いがついているからです。
主人公の動きが速くなると仲間の動きも速くなり、強大な敵に立ち向かうことができるようになります。不安や迷いは実力を閉ざすことになり、覚悟を決めることは実力以上の力を発揮させることになります。

アクション映画のストーリーは平坦ではなく危険、困難、謎、裏切り、迷い、そして強大な敵の出現などがあり、決して先が見通せるものではありません。どんな結末が待っているか分からないので観ていて応援したくなるのです。

もしアクション映画やスパイ映画の主人公が強くて最初から敵に勝ち続け、危険も困難も襲ってこなければ観ていてもつまらないと思います。主人公が困難に直面して、敵わない敵と戦うから応援したくなるのです。仕事も映画と同じだと思います。

簡単な仕事はありませんが、もし簡単な仕事があるとしたら、誰にでもできるし考えることが必要ないので、きっとつまらなく感じることでしょう。自分が面白くない仕事を達成しても周囲の人もつまないので評価の対象になりません。主人公が壁にぶち当たり結果が見通せないので、これらの映画は楽しいのです。

平坦の仕事、誰にでも出来る仕事は映画の対象にはなりません。困難に直面したことや乗り越える勇気を持って挑む主人公がいるから映画になるのです。私達は困難な仕事に直面すると「嫌だなあ」「逃げ出したいなぁ」「止めようかな」と思うことがあります。しかし結果を出すことが難しい仕事とは次々に困難に直面する仕事であり、次々と邪魔が入る、つまり敵が登場してくるのです。

次々に敵が登場してきますが、その相手に負けてはいけません。敵を倒すことがアクション映画やスパイ映画の主人公なのです。仕事の主人公は自分ですから、強大な敵が現れたからと言って逃げてはいけません。敵や困難から逃げないことが主人公の条件です。
人生の主人公は自分ですから、それは映画と同じです。仕事は結果が見通せないことも映画と同じです。映画を観たお客さんが主人公を応援してくれるように、応援してもらえるような仕事をしなければなりません。周囲から応援される仕事をすることが主人公なのです。

最初から最後まで順調にいく仕事はありません。企画案が評価されないこと。説明が理解されないこと。必要な資料を揃えたけれど「まだ足りない」と指摘され「それなら最初から言ってくれたら」と思うことなど、多くの試練が待ち受けています。大きな仕事であればあるほど困難が立ち塞がってきます。諦めたくなる気持ちは分かります。しかし映画の主人公は諦めません。諦めたらそこで映画が終わるからです。主人公が諦めて途中で終わる映画を「観たい」と思う人はいないように、仕事を途中で諦める人を応援してくれる人はいません。

映画の主人公になった気持ちで仕事を行いましょう。困難を切り抜けられますし応援者も出て来ます。そして熱意と行動が説得すべき相手の心を動かします。それをやり遂げるのが映画でも人生でも主人公なのです。