コラム
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2021/7/12
1805    任期と覚悟

上場企業の社長でも事業所や組織のトップ、議員には任期があります。二期4年や三期6年、議員の場合は一期4年の任期があります。与えられた時間は思っている以上に短いので、その任期の中で大きな仕事を一つでも仕上げられたら功績だと思います。一人の人が重要なたくさんの仕事を成功に導くことはできないからです。

一つの功績をあげ「よし」と思えるなら覚悟を持てることになります。
「この仕事が私の使命」「この仕事をやり遂げよう」などと思える仕事に巡り合えた時、または覚悟を決めた時、それをやり遂げたらその任を降りる覚悟で挑むべきです。

一人の人がやり遂げられる役割は少なく、重要な使命を果たした後は後任のために道を開けることが大事なことだと思います。任期を決めて覚悟を決めることで大きな仕事が出来る環境が整います。その地位にしがみつくことを考えたら、覚悟が定まりません。覚悟が定まっていない人がトップになれば組織は不幸なことになります。保身から生まれる新しい機運はないからです。現状維持は後退ですし、トップが覚悟の決まらない仕事をやっても組織は活力を失い成果は現れません。

時代が巡り合わせた一つの大事業をやり遂げること。過去から引き継がれてきた負の遺物の処理を、覚悟を決めてやり終えることなどが使命です。

偉人である坂本龍馬、ナポレオンなどに代表される世界史と東西を問わず、一人の人物が活躍できる期間は数年間で、その間に奇跡のような仕事を果たしているのです。覚悟を決めて行動した結果が表れていることを歴史から学ぶことです。時に皇帝や為政者が長期間に及び権力を持ち大事業を継続したこともあるかと思いますが、民主主義の世界において権力を維持し続けることは難しいことであり、また民主主義は長期的に特定の人に権力を与えることは是としていません。権力は与えられるものであり、その立場にある人を交代させていく制度ですから、数年間のうちに成果を求められています。幾つもの大事業を一人の人に担わせることを求めている時代ではなく、時代が求める役割を果たした後は、次の時代を託すことのできる人に道を開けることが覚悟であり潔さでもあります。

覚悟を決めた人は大きな仕事をやり遂げる土台を築けたことになり、継続して行動で成果を出すことが期待できます。覚悟を持たないで長期政権を求める人は歴史が評価する成果を残すことはできないのです。

そして誰でも分かる実績を残した人がトップに立つべきで、何の実績もないのに祭り上げられた人が後継者となった企業や組織は、それまで以上の発展はありません。 前任者を超える成果を果たせるのは動いた結果の実績を残し、上に媚びるのではなく誰もが「この人であれば」と任せられる人物が相応しいと思います。
トップが「何でいるのか分からない」「一体何に取り組んでいるのだろう」「覚悟が見えない」と思われるようなら組織は衰退の道を辿ることになります。

期限を区切って短期間で一つのことをやり遂げる覚悟を持った人は、逆風にも立ち向かえますし結果を残せると思います。しかし「いるだけ」の人は何もしないから失敗はなく長期的にその場所にいることができますが、長い視点で捉えるとその時期から後退への転換点になったことが分かることになります。歴史で生きている私達は賢明な判断をしたいものです。