コラム
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2021/5/21
1774    機会損失

コロナ禍において、地方都市の既存の産業は苦戦を強いられているため経済活動が停滞しています。コロナ禍を脱しても借入金の返済が始まる時期から不景気に入るかもしれず、恐らく短期的な停滞にはならないので、金融機関の支援が十分でなければ地域経済への影響は大きいと考えています。

和歌山県においても昨年来からの社会の変化に伴い、既存の産業の後退を視野に入れて新規産業の誘致を図ることが必要であり、むしろそれがなければ将来に向けての発展はないということです。

現状維持が厳しい産業を、当該企業だけの努力によって、現在の規模を維持することは難しいものがあります。民間企業は本業が安定しての地域貢献ですから、地域貢献だけを求めることは、行政として無理を強いるようなものです。民間企業にそれを求めても到底、それは叶わないので、これまでの地域貢献に感謝し、継続して支援すると共に、新産業を迎え入れる取り組み、そして新しい分野を求める度量が必要です。

失敗を恐れていては、発展はありません。失敗をすることによる損失よりも機会損失の方が地域発展にとって大きいと考えるべきです。

「機会損失の機会を失うこと < 失敗をすることによる損失」です。

何故なら、失敗は見えるので人に知れることになり評価できますが、機会の損失は不作為なので人に知れることなく評価もできません。言い換えると、機会の損失とは「何もしないことなので損失規模が分からない」のです。ですから県民の皆さんにも分かりませんから批判もないことになります。平時はまだ許せるとしても、非常時にその姿勢は困りものです。発展の可能性を阻害している原因が「機会の損失」であれば、関係者以外は誰にも分からないからです。県民の皆さんが知らない間に「将来の発展の機会を失う」という損失を被っているのです。

時代は常に成長を志向するものなので、何もないことが「良い」ことではなく「リスクを取る覚悟で仕事をすること」が求められています。

一例として地域経済効果への影響が大きい企業誘致は、100の機会があって1つ成功すれば「成果があった」と考えるべきで、失敗を恐れているようでは成功もないということです。

既存産業が現状維持であれば、まだ「良い」としても、急激な経済情勢の変化に伴って維持することが困難であれば、それを無理に引き伸ばすのではなくて、並行して新しい時代に必要な産業を求めるべきです。これは府県間の競争ですから「和歌山県を選択してくれる」の姿勢ではなくて「和歌山県に来て欲しい」という強い意思表示が必要です。

少なくとも関係している案件に関しては、「機会の損失」をしないことを前提に取り組んでいます。

うまくいく確率を高める仕事は大事なことです。同時に、どれだけ確率を高めても失敗する可能性はあります。そうであれば、ひたすら確率を求めることよりも、信頼できる人が関わっていることを信頼と考えて、一度、その船に乗ってみることも戦略です。船が進まなければ下船すれば良いだけのことです。

疑うこと、信用すること。仕事を進める上で、どちらも大事な視点です。