コラム
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2021/5/11
1766    日本人らしさ

日本人はいつから頑張っている人を批判するようになったのだろう。ある時はお客さんの立場で、ある時は匿名での批判、頑張っている人の心を折るのに十分な批判、攻撃を加えていることに気づいていないのでしょうか。「日本書紀」の精神を教えてもらって建国の精神が分かるのですが「日本は常に民衆の幸せを第一としてきた」こと、それは「国家権力よりも民衆の幸せを優先する国柄を持っていた」国なのにです。建国当初から民衆のことを「おほみたから」として、豊かな生活と幸せになってもらうことを目指して国作りを行ってきた歴史へとつながっているのです。

ところが現在であれば医療従事者への批判の声を聞きます。感染症対策で大変な頃苦労をされている方々に対して、心のない言葉や自分本位から発せられる言葉は「日本人なのだろうか」と思うことがあります。

診察の手続きに必要な種類の記入を求めたところ「何故、こんなもんに書かなければならないのか」とルールを守ってくれない患者さんがいました。病院のルールの説明をしても「私には関係ない」と言い張ります。問診票に記入するだけなのに、やらないばかりは文句のオンパレードだったそうです。結局、「責任者を呼べ」のクレーマーの常とう句によって、複数人の医療従事者が対応して問診票に記入してもらったようですが、多くの職員さんが関わったことで他に使えた時間が無駄に費やされたことになりました。

ルールは無駄に作られたものではなく、診察するにあたって必要だからルール化されているのです。素人が「必要ない」と判断できるものではありませんし、文句を言うべきことでもないのです。医療行為に必要な情報を把握するために患者さんに求めているもので、専門家が協議を重ねた結果のルールなのです。

この患者さんの自分勝手な文句によって医療従事者の貴重な時間を奪い、頑張っている人の心に傷をつけたのです。その日の後々の仕事に支障を与えたとすれば、法律では裁けないですが、人の道に外れたことになります。

また待ち時間のこと文句を言う患者さんがいました。病院の待ち時間は長いので文句を言いたくなる気持ちは分かりますが、その時間は医療従事者がサボっているのではなくて一人ひとりの患者さんと向き合っている時間なのです。一人の患者さんがスタッフに文句を言うことによって仕事の流れが悪くなります。一つの歪みが全体に影響を与えることになるのは、社会人なら分かっていることです。

結局、病院を背負っている立場の職員さんが謝って事態を収めることになります。医療従事者が「申し訳ございません」と謝って、文句を言っている患者さんが怒る態度を改めることなく「これ以上言っても聞いてくれないのだったら仕方ないわ」などの台詞を吐いて、一件落着となるのです。相手に落ち度がないことに文句を言うことは、日本人が大切にしてきた礼節や思いやりに欠けるものです。助け合いや思いやり、感謝の気持ちで人に接すれば、こんな大変な時期に頑張ってくれている医療従事者への文句は出て来ないはずです。

仕事とはいえ、感染症患者を受け入れている環境下で懸命に役割を果たしてくれていることへの感謝の気持ちを持つべきです。看板を背負っているので言い返せない立場の人への文句、批判を言う人は全く心のない人であり、そして日本人らしくない人だと思います。