コラム
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2021/1/19
1758    伝統を背負う

和歌山県立向陽高校の鈴木校長先生には良くしてもらっています。思いついた時に突然、校長室に立ち寄るのですが、いつも笑顔で応対してくれます。

学校の勉強やクラブ活動のこと、同窓会や東京同窓会のこと、将来の向陽高校の目指すべき姿について、そして高校再編の議論が出ている中における存在価値を持たすためには、などの話を交わしています。

冷静であり、熱心な校長先生は、心から向陽高校を愛し、将来に向けて成長を続けてくれることを願っています。そのことは学校のホームページに書いているコラムを読むと、更に分かります。

その中に「伝統と革新」(令和2年12月18日)のコラムがあり、その一部を引用します。

伝統と革新というのは目標達成のための方法論に過ぎず、大切なのはしっかりと目標を立て、それを達成するために努力することではないでしょうか。

向陽高校は105年の歴史と伝統を誇りますが、それは生徒の皆さんがそれぞれの目標に向かって一生懸命取り組んだ105年間だったということだと思いますし、その姿勢が変わらない限り、今後も時には伝統を守り、時には革新を引き起こしながら学校として続いていくのだと思います。

伝統も革新も方法論であり、大事なことは目標設定と継続して取り組む姿勢だと伝えてくれているのです。

向陽高校は創設105年の伝統ある学校で、鈴木校長が去った後も和歌山県において新しい歴史を刻んでいくと思います。鈴木校長が在任した年月もまた歴史の一部となり、106年目に伝統のバトンを受け継がすことになるからです。103年の歴史のバトンを受け継ぎ、104年と105年の現実の歴史を築いてきたのです。

そこにはコロナ禍での学校運営のあり方や授業の進め方など、これまでにない思考と行動力で難局を乗り越えてきました。結果から見れば「どこでもできている」となるかも知れませんが、困難に直面した時のトップの考えと指示、そして決断は簡単なものではなかったと想像できます。決断して行動した人の結果から評論することは容易いことです。現場のトップがこれまでにない状況下で考えて下した決断こそ素晴らしいのです。

そこには生徒を思いやる心があり、伝統を継承している責任があり、結果責任を取るという覚悟があったと思います。会話をしていると、伝統を背負う重さを感じます。

校長室を見渡すと歴代の校長先生の写真が飾られています。僕が在校生だった時の校長やお世話になった校長もいます。もう歴史の一部分になっていますが、鈴木校長が言うように「生徒の皆さんがそれぞれの目標に向かって一生懸命取り組んだ105年間だった」と思います。僕たちが在校したのは105年の中のたった3年間ですが、その3年間も伝統の一部になっているのです。その期間がなければ伝統は受け継がれていなかったのです。

そして現在は同窓会長として、歴史の一部を担っていることを誇りに思うのです。この月日も在校生であった時と同じように「一生懸命取り組んでいる日々」であるべきだと自覚しています。伝統を背負うとは責任を担うことに他なりません。次の世代も向陽高校を目指したいと思うような先輩でありたいと思います。