コラム
コラム
2021/1/15
1757    指導者のこと

令和3年冬、高校スポーツの全国大会をテレビ観戦した教育関係者は「やっぱり指導者は大事だと思いました。特に高校生や中学生の指導は、子ども達の将来を導くことになるので本当に大事だと思いました」と、次のような話をしてくれました。

  1. 子ども達に自主性を持たせることが大事です。練習の時は厳しく指導していると思います。でも試合になればキャプテン、三年生が選手を引っ張ってくれることを求めたいと思います。
    自分達のチームは自分達で雰囲気を創り出して勝つことを意識する。その自主性を持たせることが指導者にとって大事なことだと思います。
    特に控え選手の三年生がいます。控え選手はチームに欠かせない存在です。控え選手がいなければ練習はできませんし、正選手だけでチームは構成できないのです。試合になれば最上級性の控え選手の励ましが力になります。リードされている時のタイムを取った時間での励まし。リードしている時の励まし。どちらも集中力や精神力を高めてくれます。指導者はチーム、選手を信頼すること。選手はメンバーを信頼すること。チーム力は個々の実力以上の力を発揮できることを学ぶ機会になります。
  2. 全国大会では勝つことが最大の目的ですが、勝ちだけに拘り過ぎてもいけないと思います。決勝まで勝ち進めば絶対に勝ちたいと思います。優勝は歴史を刻みますが、準優勝はそこまでいきません。勝ちたい気持ちは分かりますが、高校生や中学生にはそれよりも大事なことかあります。
    ルールに従って正々堂々と自分たちの力で試合をすることです。プロになれば勝つこと、見せることが大事ですが、10歳代の競技はルールに従って勝つための努力をすることが、もっと大事なことです。社会ではルールの枠を超えることも時には必要ですが、基本はルールを守って仕事を進めることです。若い時からルールを踏み外すことに慣れてしまうことは怖いことです。社会人としての基本を教える指導者でありたいと思います。
  3. 強いチームと戦う時は試合前から選手は委縮してしまいます。そんな時、指導者は「大丈夫、一ポイントずつ取っていこう」など、言葉によって自信を持たせることができます。良い指導者は対戦相手に選手が委縮した場合でも、緊張をときほぐして普段の実力を発揮できる環境を整えることができます。それは練習を通じて得ている信頼関係であり、試合前、試合中に指導者が伝える言葉です。指導者の言葉によって選手は気持ちを取り戻します。「大丈夫」「相手を良くみていこう」などの言葉が立ち向かう気持ちにさせるのです。指導者の言葉はとても大事なのです。
  4. バレーボールは一セット25点でそのセットを取ることができます。しかし一度のプレイで得られる得点は1点だけです。一気に5点や10点を取ることは出来ないので、1点ずつ積み重ねることになります。1点は一つのプレイによって得ることが出来るだけなので、一つのプレイが大事なのです。一つのプレイに手を抜いて得点されてしまうと、取り返すには二つのプレイが必要となります。全国大会のチーム同士の対戦では1点の重さが違います。一つの手抜きプレイで流れが変わりますから、今できるプレイを懸命にすることを伝えたいということです。
  5. 想定できるプレイに対して、練習では何十回も繰り返します。それが何百回に一度のプレイだとしても、練習で想定して対応できるようにします。想定していないプレイがあればその練習をしていないので、試合では対応することはできないのです。対応することが難しい技術であれば、何百回も練習を繰り返して試合に備えておくのです。一度もそのプレイが必要とならない展開だとしても、備えておくことが危機管理になります。
    表面に出る10の技術の背景には、プレイとして現れない倍以上の技術があるのです。一般的に試合で必要な技術が10だとします。そんな場合でも、10/10の技術よりも10/100の技術を持っている方が、より強いチームだといえます。10の技術を発揮するために備えている100の技術があるので、試合展開を変えることが出来るからです。