コラム
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2020/5/28
1750    Steve Jobsの逸話

アップル社の創業者であるSteve Jobsの逸話を聞かせてもらいました。

Steve Jobsが初めてアップルコンピュータ―「Apple T」を完成させた時の話です。チームの技術者が開発したコンピューターの基板を彼のところに持ってきました。技術者は自信満々で彼に見せたのですが、その時「この基板、このマザーボードの配置が美しくない。出荷は配置をやり直してからにしよう」と答えたそうです。

技術者たちは「この基板はカバーに隠れてるから誰も見ることはできないので、これで良いじゃないか、性能が良ければ基板の配置や配線なんて関係はない」と反論したそうです。

その時Jobsは、自分が子どもの頃に父親に教えられた話を技術者に伝えました。「ある時、自宅の塀をペンキで塗る作業を父親と二人で行ったのです。道路側になる外側のペンキを塗り終えて作業を終えようとしたところ、父親が『次は塀の裏側も塗る』と言ったのです。私は『塀の裏側は誰も見ないから塗らなくていいと思う』と言ったところ、父親は『人から見えないところ程、美しくしなければいけない』と言ったのです。この価値は私が父親から教えられて、今まで守っていることです」と当時の話を伝えたのです。

この話を聞いた技術者達は、基板の組み換え作業を行うことになりました。製品の出荷を遅らせてまでです。

数週間後、技術者達が仕上げた基板は美しい配置のものでした。その基板にカバーを被せてコンピューターが完成しました。その時、Jobsは完成した基板に開発に携わった技術者全員の名前を印字しました。 「優れた芸術作品には作者の名前を刻印するでしょう。だからこの製品にも全員の名前を刻印するのです」と説明カバーを被せたのです。基板は見えませんが、作者の名前を刻んで完成させた製品を技術者は誇りに思いました。

もし配置が汚い基板の状態で製品を出荷していたなら、名前を刻印することはなかったからです。見えないところを美しくすること。これは製品作りでも、人間関係でも、自らの行動でも同じことだと思います。見えないところを大切にすることは社会生活の基本だと思います。

自分の作品には名前を記載して社会で問えるようにしたいと思います。匿名の意見、匿名のコメントは、この逸話にあるように美しくないからです。名前を記載できる作品や意見は美しいと思います。

匿名で書いた意見、投稿した意見は美しくないので、同じような美しくない意見が投稿されます。汚いところには汚いものが集まりますから、直ぐに汚れた投稿の溜まり場になっていくのです。汚れた投稿は人の心にも影響を及ぼしますから、やがて多くの人を巻き込んでいきますし、標的にされた人の心を蝕んでいきます。こんな連鎖は避けたいと思いますし、まして発信者にならないように気をつけるべきです。

名前を記して発信する、投稿する意見は美しいものですから、自分の意見を社会に問いたいのであれば実名で発信すべきです。それが現代社会への問題提起であったとしても、美しい意見であるなら美しい連鎖を招くことになります。決して批判的ではなく建設的な意見が投稿されることになると信じています。