平成30年11月18日、日曜日のことです。
「母と会話できるかもしれない」。そう思ってTさんに電話をしました。
「母が亡くなりました。母と話がしたいので、つないでくれますか」と問い合わせると、「はい、大丈夫ですから来て下さい」と返答をいただきました。その日の午後、早速、Tさん宅を訪問し、母との会話を楽しむことができました。
とても温かい話なので、以下にTさんを通じての母と僕との会話を紹介します。
Tさんが「お母さんはここに来ています。先ほど、息子さんがここに来ると伝えていたので、ここに来てくれています。話したいことがあれば言ってください」、そして「私の横に穏やかで上品な、そして物静かな人が立っていると思いました。誰だろうと思っていたのですが、それが片桐さんのお母さんだったと気づきました。片桐さんを待ってくれていましたよ」と話してくれました。
「お母さん、突然いなくなったので人生の最後は何を思っていたのか分かりません。何か言ってください」と尋ねました。
母は「大丈夫ですから心配しないで下さい。自分の人生は分かっていました。少しずつ体調が弱ってきていたので、息子に迷惑をかけたくないと思っていました。息子の足を引っ張りたくありませんでした。今は穏やかにしているので心配しないようにして下さい」と話してくれました。
「お別れの挨拶もできなかったので話ができなかったことを悔やんでいます」。
母は「章浩のことは全て分かっているから何も言わなくても大丈夫です。無理をしないで仕事を全うして下さい。私はそれを願っていますから」と言う返答でした。
「それにしても少し早すぎるよ」と言うと、母は答えてくれました。
「お別れの時は知っていましたから心配しないで下さい。今は私には章浩を護っていく力がありませんが、これから三年間の行をすることにしています。行をするには今の時期が最適だったのです。今から三年間の行をやり遂げると、息子を守れるだけの力を身に着けることができますから、今この時期に逝く必要があったのです。
少し早かったかも知れませんが、体が自由になる今の時期に逝く必要があったのです。幸い先祖に行を指導できる偉い人がいるので、その人の下で行をおこなうことにしています」。
Tさんは「あちらの世界で行ができる人は少ない」と話してくれました。「行ができるのは位の高い人で、先祖に指導できる人がいる人に限るからです」ということです。そして位の高い人とは、この世で良い行いをした人、人のために尽くした人のことです。良い行いをした人だけが向こうの世界で行をすることができ、三年後に子どもを守る力を得ることができるそうです。
この世を去って暫くの間、子どもを護る力を持てないそうです。三年間の行を終えて、より明るい場所に上れる人が「子どもを守る力を得ることができる」と説明してくれました。
だから母は「今の章浩は私がいなくなっても大丈夫だから行をして力を蓄えるためにこの世を去った」ようなのです。