コラム
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2018/12/4
1736    別れの日2

他にも多くの人から話を聞かせてもらいました。

「章浩君の議会の傍聴に行っていました。電話した時、『章浩の議会に行く』と楽しみに返事をしてくれていました。やはり息子が議会で発言することは嬉しかったのではないでしょうか」という話や、「市会議員や県会議員には誰でもなれる訳ではありませんから、一所懸命に応援していました。しんどかったと思いますが、息子の活躍が元気の源だったと思います」という話も聞かせてもらいました。

また「お母さんは常に章浩君のことを最優先に考えていました。自分のことではなくて息子のことを思っていたのです。だから辛いことにも耐えていましたし、無理を言われても我慢していました。凄い人だと思います」という話も聞かせてもらいました。

後日、弔問に訪れてくれたK先生は次のように話してくれました。

「私の治療院でお母さんの悪口を言う人は一人もいませんでした。こんな人は他にいません。だからお母さんがいると明るくて清い空気になっていました。お母さんがいなくなると治療院の空気が違うことが分かります。お母さんがいないと本当に寂しくなりました。そして片桐さんにもお母さんを通じて大変お世話になりました。台風第21号の被害からの復旧をお願いして対応してもらいました。お陰様で私の福祉施設も復興に着手することができています。このお礼を伝えに来ようと思っていたのですが、こんなことになるなんて、本当に残念です。お母さんに心から感謝しています」という話を聞かせてもらいました。

最後に叔父さんの言葉です。

「お母さんは苦労をしたけれど幸せな人生だったと思います。章浩君が頑張っているので自分も頑張れたと思います。章浩君のための人生のようでしたが、それが幸せだったと思います」と話をいただきました。

たくさんのお母さんの話を聞かせてもらいましたが、どれもこれも優しくて、無理をしてまでつきあいをしていることや、僕のために無理をしていることばかりでした。この愛の深さに感謝の「ありがとう」の言葉以外に何も見つかりません。

それにしても実家から葬儀場に行くための着替えなどの準備をしている時間の悲しさ。お母さんの遺体が車に乗せられようとする瞬間の心の痛さ。母がいなくなった実家の戸締りをして鍵をかけて後にする時の寂しさ。どれもこれも、心の痛みに耐えられないものばかりです。号泣という表現がありますが、こんな堪え切れなくて声の出る号泣体験は初めてです。

他にもお母さんの顔を見つめている時に涙が頬を伝うことや、母のことを思いながら言葉を発すると涙で途切れてしまうことなど、悲しみ体験の連続です。

最後に葬儀のお礼状の文面を読んだ人から「文面を読んで涙がでました。お母さんはいつも片桐さんを守り続けてくれていますから大丈夫です」と言葉をいただきました。悲しさと嬉しい言葉が飛び交う通夜式の日となりました。

葬儀会場に飾られた写真の中のお母さんの表情は笑顔が素敵で、優しくて誰にでも好かれるような本当に素晴らしいお母さんだと思います。心から「お母さん、ありがとう」と言います。お母さん、聞こえていますか。