コラム
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2018/7/25
1725    本気度と応援力

応援の力は凄いと感じることがありました。甲子園を目指す高校球児が戦う和歌山県大会の応援席の空気から感じました。母校である向陽高校の初戦を応援するため紀三井寺球場に行ってきました。

対戦相手は和歌山工業高等専門学校。5対0で勝利しましたが、チーム力と共に応援の力を感じたのです。応援席は野球部員と共に現役の学生と保護者、そしてOBが大勢応援に駆け付け大きな声で声援をおくりました。この声援はグラウンドにも、選手達にも、ベンチ届いていたと思います。

応援席のメガホン、タオル、うちわ、拍手はブラスバンドの音と共に、そしてチェアリーダーのダンスと共に確実にグラウンドに届いていると感じました。それほどの声援であり熱気であり、思いがありました。この応援席でいると、誰でもきっと「頑張れ」、「勝って欲しい」、「負けるな」とグラウンドに向けて叫びたくなります。

応援席にはバッターボックスに入る選手の名前のボードが掲げられ、全員で選手の名前を連呼します。そして選手の好みに合わせていると思いますが、その選手ごとに違う曲が演奏され、チェアリーダーがオリジナルの振りのダンスを踊るのです。バッターは応援席が見えていないと思いますが、背中から後押ししてくれる力を感じてくれているはずです。

スタンドからの声援という見えない力が選手を後押しし、選手は自分の力と応援力を加えた力で投手に向かいます。この力で本塁打2本を含む5点を取り、初戦を勝利することができたと思います。

選手の日頃からの厳しい練習に耐えてきたことと、勝利に向かう本気さが応援する人達を本気にさせていくのです。応援席には選手の「勝つんだ」という気持ちが伝わってきますし、「勝つために応援している」という応援団の力がそこに加わっていきます。回を重ねるに連れて応援席の力は束ねられていき、エネルギーの塊となって熱気を生み出していきます。

選手が、そしてチームが本気で戦うことで周囲の人も本気になっていきます。ここで感じることは、選手の本気度が応援席の本気度を加速させていくことです。選手の本気度が高まれば高まるほど応援席の本気度も高まっていく空気を感じました。そして選手の本気度を応援席が上回ることはありませんから、選手が本気度を上げていくことが応援席を熱気の渦に巻き込んでいくのです。

そう思うと勝利の鍵は、練習量と技術に加えて、選手の「勝つんだ」という気持ちの本気度と、試合が進むにつれてその「勝つ」という気持ちを高めていくことにあると思いました。

応援席は選手の本気に敏感に反応します。どんな凄い選手でも気持ちが入っていなければ、応援力を味方にすることはできないと思います。

そしてこの応援力を引き出す力の存在は、高校野球だけではなくどんな人にでも共通することだと感じました。本気で仕事を頑張っている人を周囲は応援します。本気で何かに取り組んでいる人のことを周囲の人は応援します。本気で政治に取り組んでいる人を周囲は応援してくれます。本気度が周囲の応援力を引き出す力になる。そう思うのです。

高校野球を応援席で応援する魅力の一つは、応援する人も選手と一緒に応援する人と共に応援力を発揮できることにあります。この力を感じることが自らの本気度を高めてくれます。