コラム
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2018/4/24
1710    感動空間

挨拶の言葉が聴く人を感動させる。そんな光景を間近で見て、感動させられました。心の込められた言葉で伝える挨拶の言葉には優しくて覚悟を持った力が宿っています。

素晴らしい挨拶とは、自分がやってきたこと、自分が感じたことが素直な言葉で綴られているものだと思います。美辞麗句、形式に囚われない心の中を表現した挨拶が素晴らしいと思います。

平成30年4月19日。和歌山ゴールドライオンズクラブの結成15周年記念式典での会長挨拶は、聴く人に感動を与えたとても素晴らしいものでした。

最初に挨拶原稿を見せてもらった時、「直すところのない素晴らしい挨拶原稿」だと思いました。そして「これはきっと出席してくれた皆さんを感動させることになる」と思いました。結果として、その時に思った通りになりました。

会長挨拶の中には、就任して以来、一年間みんなのために、社会貢献のためにやろうと覚悟を決めて実行してきたことが背景にあります。決めたことを「やり遂げる」という気持ちを持って実行に移し、困難があっても「やりきった」のです。この背景を知っている人は確実に感動したと思います。

この背景を知らない人でも、会長が本気でやってきたことを言葉で表現していることを感じられたと思いますから、その覚悟を持った言葉に感動させられたと思います。覚悟の感じる言葉、困難に負けないで実行してきたことを感じると人は感動します。でもそれを言葉で表現することは意外と難しいのです。自分の弱いところをさらけ出す覚悟、負けそうになったこともあったことを伝えるのは勇気がいります。本当であれば「格好よく」、「凄いな」と思ってもらえるような言葉を使いたいところですが、思っていることを脚色したり、事実と違うことを言葉にしても迫力に欠け、聴く人を感動させることはできません。

素直に自分の心を言葉で表現することが感動につながるのです。

記念式典でこんなことがありました。会長が皆さんに挨拶をした後、司会者は次の言葉を発することができませんでした。横でいた僕は、司会者の表情を間近で見ることができたので、「会長の言葉に感動している。次の言葉を話すことはできない」と思いました。思った通り司会者から次の進行の台詞はでてきませんでした。

司会者が涙と共に「会長がそんな風に思っていたなんて・・」と涙声を絞り出した時、私達も感動の余韻に浸る静かな時間がありました。「進行するにはもう少し時間が必要だ」と思っていた時、次の感動的な場面に移りました。

司会者の姿を見ていた出席者の一人が拍手を贈ったのです。つられるように会場内には拍手が鳴り響き全体が感動する場面を作ってくれました。

全員が感動していることに気付いた司会者は、きっと「感動で涙を流しているのは僕だけではなくて、みんなそうなんだ」と、ここにいる全員の心が共有できていることを感じたと思います。一人だけが感動しいるのではなくて全員が感動空間にいることに気付いた司会者は、進行の次の言葉を発することができました。

この間、わずか数秒の出来事でしたが、会場内の感動の滞空時間は実際よりも長く感じました。素晴らしい挨拶を聴き、感動共有空間にいられたことに感謝しています。