コラム
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2018/4/23
1709    串の価値・「美」

1.興味深い記事を読みました。フェイスブックのマーク・ザッカーバーグCEOがマイクロソフトのビル・ゲイツに尋ねた内容の記事です。

CEOの「今、若者に一つだけアドバイスをするとしたら、どんなことを伝えますか」という質問に対して、ビル・ゲイツは「私はこれまでたくさんの高いIQや専門的な知識を持っている人は、どんなことでも解決できると思っていた。でも実は異なる幅広いスキルを持ち、それらをつなげる力を持った人こそが全てを解決できるのだと知り驚かされた」という回答をしたようです。

このビルの言うつなげる力を持った人とは「焼き鳥の串のようなもの。一つひとつがどんなに旨い素材でも、串がなければ所詮、焼き鳥にはならない。串の重要性は鶏肉と同等なのである」という話です。(電気新聞、平成30年4月6日。「ウェーブ時評」神津カンナ)。

優れた個人の実力よりも、個々をつなげる力こそが全てを解決できる力だということです。

そう言えば、県議会議員に当選させてもらった直後に、政治家の役割は「人をつなぐことにある」と聞いたことがあります。「そんなものか」と思いましたが、その後、「人をつなぐ」ことはとても難しいことだと痛感しています。自分一人でできることよりも、圧倒的に難しいと思います。

鶏肉と串は同等の価値だとは思わないのですが、附属物である串が主役と同じ価値を持っていると思える視点を持つことが大事です。

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2.中国の小学校で教えられている「美」の文字の語源の話を教えてもらいました。「美」を分解すると「羊が大きい」、つまり「大きな羊」になります。大きな羊が何故美しいのでしょうか。それは大昔に羊の行動を見た中国人の感動が基にあります。その中国人はこんな光景を見たそうです。

羊の群れにオオカミが襲いかかってきました。大きな羊が群れのリーダーなのですが、そのリーダーの大きな羊がオオカミに向かっていったのです。勿論、大きな羊でもオオカミに勝つことはできません。直ぐに大きな羊はオオカミに食べられてしまいました。

では何故、勝てもしないのに大きな羊はオオカミに向かっていったのでしょうか。それは自分を犠牲にして、若い羊や幼い羊を逃がすための時間を稼ぐためだったのです。大きな羊は自分の命を犠牲にして群れを救おうとしたのです。それは羊が生まれながらにして持ち合わせている群れを守るための本能なのです。

仲間を守るために自分の命を犠牲にした大きな羊に感動したのです。この光景を見た中国人は、大きな羊の取った行動を忘れないように、「美」の文字を記したのです。ですから「美」 の本来の意味は「内面のやさしさ」だったのです。ですから「美しい」とは、外観ではなく内面のやさしさ、心のやさしさのことを言うのです。美しいとは相手を思いやれる優しい心のことであり、優しい心の持ち主のことを「美しい」と呼んだのです。

これが「美」の語源だそうです。現在使っている「美しい」の意味とは随分違いますが、本来の意味を知っておいて、その場面で使うことで単語の持つ意味の深さが出てきます。

大きな羊が美しいことが語源だなんて思いもしませんでしたが、語源を知ることで「美しい」ことの本質が分かりました。