コラム
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2018/4/19
1708    命のビート

緊張するとドキドキすることがあります。大勢の人前で話をする時や、自分に注目が集まっていると感じる時などです。何故、人はドキドキするのでしょうか。大昔の人のDNAを受け継いでいるからだと聞きました。

大昔の人は生きるために狩猟をしていました。野生の動物を狩らなければ生きて行くことができませんでした。

野生の動物を狩猟するために森の中に入ります。暫くして動物を発見しました。しかし動物も人間に気付いたので襲いかかろうと身構えました。その時です、人がドキドキするのは。

命の危険を感じた体は体内である変化をし始めます。動物の牙などが突き刺さり怪我をする恐れがあります。当然、医療のない時代ですから怪我をして大量に出血したら、死に直結することになります。身体は、体を流れている血液を出血した場合に備えて、ドロドロに変化させるのです。ドロドロの血液は体外に出ても空気で固まるので、死を回避することができるからです。

ところがドロドロの血液を体内に循環させる必要が生じます。そのため身体は心臓の機能を高めていきます。心臓の血液を強く繰り出すためにポンプ機能をより働かせようとするのです。心臓の働きが良くなること、それがドキドキの正体なのです。

野生の動物と格闘する時に体内でこんな変化が起きているのです。

ですからドキドキは命のビートであり、緊張した時に発生するように遠い祖先から受け継いできたものなのです。緊張状態にあってドキドキすることは決して悪いことではなく生きるための自然な作用なのです。ですからドキドキは生きるために命のビートを刻み始めたと思うべきです。緊急時、身体は私達が生きるために力を発揮できる状態にしてくれているのです。

ですからドキドキを感じても焦る必要はありません。命のビートが躍動しているのだから力を発揮できる状態にあると思うべきです。そうすると緊張感は徐々に落ち着いてきます。

お客さんの前で話をすることでも慣れるとドキドキしなくなるのは、そのビートを発動しなくても大丈夫だと身体が感じているから反応しないのです。勿論、慣れてドキドキしないことは、平常心でいられることから実力を発揮できる状態にあるので、身体も精神も良い状態だといえます。

でもドキドキもまだ慣れていない状態に置かれているから命のビートを刻んでいるものなので悪い状態ではありません。問題はドキドキすることによって恐怖心を芽生えさせることや、困難な状況に追い込まれていると錯覚してしまうことにあります。人は恐怖心を感じてしまうと普段の実力が発揮できなくなります。恐怖心は物事を前進させるための最大の敵になります。

また困難な状況にあると錯覚してしまうことも、物事を前進させるための高い壁となってしまいます。

ドキドキは命のビートを刻み、潜在的な能力を発揮させようと身体がしている状態です。決して恐怖心で身体を縛ることや困難に直面していると思わせるために発生しているのではないのです。ドキドキは命のビートのスイッチが作動したと思うべきです。