コラム
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2018/3/26
1704    レッスン

和歌山県の小学生ユニット「SA-La」。小学生限定の歌とダンスのユニットで、小学校を卒業すると「SA-La」も卒業することになります。その練習を観るためにスタジオを伺ったところ、小学生のみんなが歌とダンスのレッスンを行っていました。小学生がレッスンを受けているのですが、甘いものではなくて厳しい指導と言葉が先生から飛んでいました。

「もっと大きな声を出さないとお客さんに聴こえないよ」、「アクションが小さい。そんな振りではお客さんに気持ちが伝わらないよ」など、舞台を意識したレッスンが続けられています。子どもに対して大人でも通用するようなレッスンを行っていることに驚きました。舞台に立つということはお客さんに見てもらうことになります。お客さんが来てくれているのに素人のような歌やダンスをすることは許されません。

小学生であっても舞台に立つからにはプロ。そんなプロ意識を植え付けているように感じました。レッスンを行っている先生からの教えは大人にも通用することでした。

「そんな小さなアクションではお客さんは何を伝えようとしているのか分からないよ。遠くからでも、あの子は何を伝えようとしているのか分かるような大きなアクションをするように」と伝えて、レッスン場の一番後の場所に子ども達を下がらせました。先生と私達との距離が遠くなり、そこでアクションをするため大きな振りをしなければ私達に伝わりません。確かに、近くで見るのと遠くで見るのとでは感覚が違うのです。近くで見ていると「頑張っているなぁ」と思いますが、遠くでダンスをしていると距離感が遠いので姿が小さくて「あれっ」と思います。遠くからでもダンスの振りを確認できることが気持ちを伝えるために大切だと思えます。

小さな振りでは気持ちが伝わらない。気持ちを伝えるためには大きな気持ちと同じぐらいの大きな振りが必要なのです。

「見られているからと言って自分を表現することを恥ずかしがっていると、相手は見ていられないダンスになるよ。恥ずかしいと思うならやめなさい」。恥ずかしいと思う気持ちがありますが、どうせ踊るなら思い切りやる方が気持ち良いと思いますし、お客さんは応援したくなります。恥ずかしいから小さなダンスになってしまうと、応援する気持ちは小さくなります。

人前に立ったなら恥ずかしさよりも伝えたい気持ちを前面にだすようにしましょう。そうすることで気持ちは伝わります。

「お客さんを見てダンスをして」。下を向いて踊っていたり、仲間を見てダンスをしていては、自分達だけの歌とダンスになります。プロはお客さんに楽しんでもらう必要があります。だから視線は自分の前にいるお客さんです。

「笑顔がなければ応援してくれないよ」。真剣にダンスをしている表情は素敵ですが、そこに笑顔がなければ相手は共感を持ってくれません。お客さんに対しての笑顔は何よりも大事です。

「レッスン中は振付や歌詞を考えていては駄目だよ。今、考えるべきことは笑顔になってお客さんを楽しませること。笑顔がないと楽しくないよ」ということです。歌詞や振付を覚えておくことは当たり前のことで、その前提にレッスンを行うことになります。レッスンは本番を意識する場ですから、笑顔で思いを表現することが最も大事な目的となります。

「舞台に登場する場面では自分をアピールして下さい。人と同じではアピールになりません」。人と同じことを言っても人と同じ表現をしても、それはアピールにはなりません。基本を身に付けた後はオリジナルな表現が必要です。アピール力を意識することで、チームで同じ振りのダンスを踊っても「あの子は違うな」と目立つことになります。アピールする力は考える練習の中から身に付けることができます。

これら小学生に対する指導の言葉は大人にも役立ちます。