コラム
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2016/6/10
1649    腹を立てない

「昨夜は腹が立って眠ることができませんでした。眠れなかったので朝の4時から片桐さんにメールをしました。是非、話を聞いてもらいたいと思ったからです」と話を切り出してくれました。メールをもらったその日の午前、丁度、別の要件で近くまで行っていたので、会うことができました。僕は朝早く出発していたことから、午前4時のメールはまだ見ていなかったのです。

会うなり「今日、片桐さんに会って話を聞いてもらいたいと思っていたので、今朝会えることを本当に有り難いと思っています」と、昨日の悩みを話してくれました。

これまで準備を進めてきたことに関して主催者との見解の相違があり、「今さらこんなことに」と凄く悩んでいるのです。計画を進めるに当たっての話の前提条件が違っているので、精神面で前向きな気持ちになれないで、この企画を「やるべきか止めるべきか」、一晩中悩み考えて、結論を出せずにいたのです。

この問題に関する主催者との協議はこの日の午後からだったので、午前中に方針を決めなければなりません。実施するか中止するか。実施する場合の条件は。中止する場合は今後の人間関係をどうするか。などの課題が抽出できました。

ただ、話し合って実施すると決まった場合でも、双方にわだかまりがあれば楽しくありません。それぞれの主張をして折り合いをつけたとしても、これまでのように前向きに企画を進められるかどうか分からなくなります。実施する場合は、気持ちよく実施できるような結論を導く必要があります。

話を聞いて、何となく「僕が入れば大丈夫」という感覚が生まれていました。その源泉は、1.これだけ悩んでいる姿を放置することはできないので、早い内に安心してもらいたいという思いがあったこと。2.この秋の企画は僕も楽しみにしているのだから、これまで関係している多くの人も楽しみに待っている筈なので、みんなの楽しみを現実のものにして、待っている楽しみを、参加して楽しみたいと思ったこと。3.利害が対立している人同士が、事前の根回しもなく直接話し合っても解決に至らないし、解決しても心の中に問題が残るけれど、この件に関しては第三者(僕)が間に入ることで解決できるという自信があったこと。

これらのことを心の中で思ったので、「大丈夫、この件は任せて下さい。午後からの話し合いでは怒ってはいけませんよ。相手の話を不条理だと思っても、辛抱して腹を立てないで聞くだけにしておいて下さい。但し、聞いて納得したと思われないように、条件提示があれば『検討します』と保留して持ち帰ってください」と話しました。

そして「この企画は実現できると思います。実現した時にお互い気持ち良く仕事をしたいと思います。そのために解決させますから、ゆったりとした心で話し合って下さい」と伝えました。

その結果、当日の午後、弾むような声で電話をしてくれました。「片桐さん、僕の思っている通りで解決しました。この前の話はなかったことにして下さい。当初の条件でやりましょうと先方が話してくれました」と伝えてくれました。悩みは一日で解決することができました。悩みを魔法のように解決することができました。心が明るくなり、どちらも傷つかない解決が図れたことは嬉しいことです。人の喜びは自分の喜びになります。