コラム
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2016/5/17
1646    気持ちの良い会話

定年退職後、新しい職場で働きながら、年金の支給を受けている方がいます。とても熱心に社会貢献活動を実践してくれているのですが、今年いっぱいで職場を去ることになりました。そのため「年金だけで生活をしていくことになるので社会奉仕はできなくなるかなぁ」という申し出がありました。

確かに年金だけで生活をして、社会貢献活動を続けていくのは厳しいと思います。社会貢献にはある程度の資金も必要となりますから、生活費を取り壊して実践できるものではありません。

僕も同じ社会奉仕団体に所属していて、もう13年間も一緒に活動できていることを嬉しく思っています。これまで楽しい活動をして来られたのは、この方が地味な役を引き受けてくれていたからです。もしこの方が会を去ることになれば寂しいことです。

そこで会って話をしました。

「会費についてみんなで考えました。将来も一緒に社会奉仕をしたいと思うので、必要経費の負担をしていただき、活動費などは必要に応じて負担してもらうように制度を変えたいと思います。年金での生活の範疇でと思い、決して負担にならないように必要な経費を検討しました。これからも一緒に活動したいと思います」。

「現役の皆さんに負担をかけることにならないかなあ。もし私の分を負担してもらうことになるなら、申し訳ないと思います」。

「大丈夫ですよ。負担になっていませんから。あまりに早く社会との接点を失くしてしまうのはもったいないと思います。必要としている人がいますから、これからも一緒に社会奉仕を続けましょう。みんな待っていますし、一緒に活動できることを期待しています」。

「私なんか何のお役にも立っていないのに。申し訳なく思っています。この年になって社会には壁があって打ち破れないものだと感じて諦めの気持ちが生じました。社会奉仕をしているのに社会に大きな壁があることを感じ、気力が薄れていくようになっています。でも片桐さんから、そう言ってもらえることは嬉しいことです」。

「社会にはそれぞれ役割を持つ組織があって成り立っています。組織の外からその組織を変えようと思っても難しいことです。それよりも私達が社会貢献することで、少しでも社会を変えていけると思って活動を続けることの方が楽しいですし、社会にお役に立つことで周囲に変化を感じる方が素敵ですよ。1人ではできないことも集まれば力になります。費用の問題をクリアできたら一緒にやっていけると思います。そしてやがて僕も年金で生活する時期を迎えることになります。そんな時のために、会費に関する制度を変えておくことでみんな恩恵を受けられるので、決して僕たちの負担になるとは思っていません」。

「そう話してくれるなら、続けられる限りやってみようかな、と思います。私のために費用負担の問題まで考えてくれてありがとうございます。それでなくても忙しいのに私のために時間を取ってくれて有り難いことです」。

「これからも一緒に活動しましょう。みんなが集まれば楽しいですから。功労者には残ってもらいたい。みんなの気持です」。

会って話をすることで気持ちが通じ合う。とても気持ちの良いことです。