コラム
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2016/2/22
1636    スロー記録の陰にあるもの

大相撲初場所で優勝した大関琴奨菊関。琴奨菊関の31歳11カ月での初優勝は、年6場所制が定着した1958年以降3番目の年長記録であり、大関26場所目での初優勝は、昭和以降の新大関で「史上最スロー記録」とのことだそうです。どれだけ頑張っても結果が出ないことを嘆くこともありますが、嘆くよりも努力することを選ぶことが、これまでの積み重ねを結果に変える力を持っていることを教えてくれるようです。

この耐えて努力した結果が花開いたことに感動した人は多いと思いますが、その隠れた努力を紹介した記事がありました。夕刊フジ(平成28年1月20日)ですが、次のような記事が掲載されていました。

『琴奨菊(31)は一途さが身上だ。「このひたむきさは、どこからくるんだろう」と平幕優勝を2回もしている朝日山親方(元関脇琴錦)が弟弟子を見てそう思ったのは、3年前だったという。
当時は壁にぶつかり、パッとしない成績にあえいでいた。そこで朝日山親方がアドバイスすると「ちょっと待ってください」と急いで自分の部屋からノートと鉛筆を持ってきて、目の前に座り直したのだ。
「この社会で大関といえば成功者ですよ。それが少しも偉そうな顔をせず、こうやって周りの声に耳を傾け、成長しようと必死になっている。この姿勢はいまだ変わらない。大したものですよ」と朝日山親方は感服する。
「人は人、自分は自分。相手のことより自分のいいところを出せるようにしっかり対策を練ってやっている」。』

大関が人の話を聞き、それをメモする。地位のある人はそこまで辿り着いたことのプライドを持っていますから、人前でのメモは中々できることではありません。自分が成長するために人の話を聞いて、忘れてはいけないところや学ぶべきところをメモしている。この記事を読んで直ぐに琴奨菊関のファンになりました。

これまでの大関の印象は、常に優勝争いをすることはなく、どちらかと言うと大関としては地味な存在でした。それが平成28年1月場所で一気に優勝してしまったのです。快進撃の陰には隠れた努力があったことを知り、努力がそれに相応しい結果を呼び寄せたと思いました。

大相撲の世界でもどの世界でも、人がやっている以上の努力をしていることは間違いありません。人一倍の努力をしている上に、更に努力をすることがその上を行くことになることを気づかせてくれます。

続けているといつか花が咲き実を結ぶと思っていても、そこまでやらない、やれないのが通常です。やっても、やっても結果が出ない時は、「もうやめよう」と思うものです。そこから粘れるかどうかは、強い精神力を持っていることに尽きます。

やめることは簡単で、続けることは難しい。でも続けることが求める結果に辿り着く方法です。続ける方法として、目標を書いて見えるところに飾っておくこと、気持ちが昂る音楽や映像を見たり聴いたりすることなど、一気に集中できる環境を創り出すことが効果的だと思います。年長記録もスロー記録も、努力を続けて達成できた結果ですから誇りに思えます。