コラム
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2016/2/4
1631    日本とトルコ

文京学院大学の学生が和歌山県を訪ねてくれました。大学内のanimejapan2016学生実行委員会トルコ班に所属して日本とトルコの友好関係について調査を行っています。言うまでもなく日本とトルコの友好関係の基になっているのがエルトゥールル号事件の歴史です。今から125年前の出来事がその後の両国の友好関係につながっていることに着目し、和歌山県串本町を訪れてくれたのです。

沼田さんの紹介で調査のため和歌山県を訪ねてくれた二人に会うことができ、和歌山県にとってエルトゥールル号事件が誇りになっていること。日本にとっても誇りと感じてもらえるような行動が必要なことを伝えました。

日本とトルコの友好関係に関しては、友情と信頼、継続、教育、誇りというキーワードが出てきました。いずれも見えないものが大事なことで、友好関係の基になっていることを伝えました。ただ見えないものは大事なのですが、見えないから人が変わったり、時間の経過によったり、心に変化を及ぼすことがあれば崩れてしまいますから、形として残すことも大事なことです。形あるものよりも見えないものが大事ですが、形になるようなものは、その前提として見えないものが存在していることを示しています。串本町にトルコ記念館がありますが、これはエルトゥールル号事件に関わった当時の串本町民の心が消えていないことから建設されたものですから、見えない日本人の心とトルコ人の感謝の気持が形となって現れたものだと思います。

見えないものは人が変わることなどによって風化していきますが、形にすることで言い伝えることができます。歴史から忘れられていたエルトゥールル号の事件が映画「海難1890」として現代に蘇り、和歌山県の誇りになっています。

そんな人として大切な心を蘇らせてくれた映画と日本とトルコの友好関係の謎が、学生の関心を呼び、心を動かせたと思います。その結果が現地調査で串本町入りしてくれたのです。

エルトゥールル号事件からテヘラン空港の封鎖から日本人を救出したトルコ航空の物語に続いて、現代も両国の歴史が新しい出会いと物語を創りだしています。沼田さんと出会ったことで文京学院大学生が和歌山県を訪問しようと思い行動に移し、そこから僕も出会い話し合うことができたのです。

もし沼田さんと僕との出会がなければ、もし当時の串本町民がエルトゥールル号の乗組員を救助していなければ、平成28年2月のこの出来事はなかったことになります。歴史は人が作り上げた必然であり「もし」はありませんから、歴史はご縁と必然によってつながっているのです。

学生の二人は僕と会うことが決定した時、事前に人物像を描き、ブログやコラムを読んできてくれました。相手のことを分かって面談することで打ち解けて話し合うまでの時間は縮まりますし、本音の部分まで言及することができます。

「インタビューをしている今の時間が楽しいと思うと、幸せだと感じることができますよ。嫌だと思っていると幸せを感じませんよ」と言うと、「この時間を幸せに感じています」と答えてくれたことが印象的でした。

そして「トルコ班に所属してこの国のことを研究できることを嬉しく思っています」と話してくれた二人の研究ですから、成果をあげられると期待しています。