コラム
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2015/11/16
1616    矢沢永吉さん

矢沢永吉さんの写真集を紹介してくれました。「この写真集は30年ぐらい前に発行されたものですよ」と紹介してくれたように、若き日の矢沢永吉さんが冊子の中で躍動していました。若き日の矢沢さんは、30年後の自分が日本を代表する歌手以上の存在になっていることを知らなかったと思います。しかし30年後も、武道館でライブをしているような偉大なシンカーになっていることを確信しているような目をしていました。

インタビューでも「白髪になっても(ライブを)やっていると思うよ」と答えていたように、自分の行く道がはっきりと見えていたようです。今の自分がやっていることを信じて、そしてこの道が未来に続いていることを信じているようです。今の自分を信じることが、未来の自分を信じることにつながります。未来の自分は自分の描いているような存在になることを疑っていないようです。

写真集には次のような言葉が掲載されてしました。

「写真というやつは、いつも現在しかつかまえられない。写真に映っているのは、いつも過去ばかりだ。しかし、写真に撮られた人間の表情には、必ず、やがて見えるはずの未来が刻み込まれているはずだ。だから、この写真集で息をしている「昨日までの矢沢永吉」を見て「明日の矢沢永吉」を感じてほしい」と書かれていました。

今から約30年前に予言された通りの現実が、今日において実現しています。過去の表情は、必ず未来につながっていることを信じたくなります。目の前の道の先に未来を見つめていれば、やがてその未来は現実のものになります。勿論、見ているだけではだめで、今、自分の全てを掛けて行動していること。辿り着きたい確かな未来を描いて行動していることが条件ですが、その決意は現在の写真に映っているのです。

ですから現在の写真の表情は未来を示しています。諦めの表情をしていないでしょうか。不安な眼をしていないでしょうか。希望を持っているのでしょうか。素晴らしい明日を見ているのでしょうか。現在の写真には未来の自分が映し出されているのです。矢沢永吉さんの過ぎ去った過去の写真集は、その時に描いた未来が現実のものになっていることを伝えてくれています。

一般的に今から30年先を描くことは難しいと思いますが、せめて10年先の自分は「こうなっている」と期待を込めて描きたいものです。今の自分が描く未来を記しておけば、10年後にはその未来が到来しているはずです。

矢沢永吉さんのファンはその歌も好きだと思いますが、ロッカーとしての生き様を尊敬していると思います。「この道を行く」ことが難しい人生において、矢沢さんは自分の信じたこの道を歩き続けています。ロッカーとしての道が続いているかどうか、過去の自分は分からなかったと思いますが、この道は続いていくものだと信じて歌い続けてきたようです。

自分の描いた道を歩くことは決して易しくないことを、人生経験を重ねている私達は知っています。この道はいつまでも続く道ではないことを知っている私達は、60歳を過ぎてもなお、同じ道を歩き続けている矢沢永吉さんの生き方に憧れ、「自分もやれる」と思いたいのです。写真集は「これから先の主役はおまえだ」の言葉で締め括られています。自分の道は自分で切り開く以外にないことを語ってくれています。