コラム
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2015/11/9
1615    映画「ロッキー」

1977年に公開された「ロッキー」には、時々励まされています。まだ高校生の16歳だった時に観た映画ですが、無名のボクサーが世界チャンピオンに挑み敗れますが、世界チャンピオンのベルトよりも大切なものを見つける物語です。今では映像を簡単に観ることができるので少しの時間を見つけて観ることがありますが、その度に励まされます。

孤独なトレーニング、巨大な相手に立ち向かう不安との戦い、大切な人への想い、つまらない人生に決別する覚悟。そのために絶対に最後まで諦めないで戦い抜くことが必要だと自分の力の全てを出し尽くすのです。

しかし人生は甘くありません。15ラウンドを戦い抜きますが試合には敗れるのです。当時、最後は勝利して終わって欲しかったと思ったのですが、今の感想は違います。試合に敗れてもこれからの人生の道筋をつけたのですから、それで良かったのです。そこがゴールではなく後に続くものを見つけることが人生の目的だと思います。試合が終わりではなく、そのあとの生き方が大切だということです。

試合に挑む前には厳しい練習を乗り越えること。これまでと違う舞台に上るのですから同じことを繰り返しても意味がありません。これまでの自分から一段高いところに上る覚悟を持つことが、不安との戦いに勝つために必要なことなのです。

ロッキーは戦いに敗れても戦い抜いたことで、挑戦することを恐れない覚悟を身につけることができました。諦めなければ確実にゴールに近づくことを知りました。そして試合とは後に続くものを残すことが大切であることを学びました。チャンピオンから打たれても、打たれても、前に出る姿に感動します。中でも14ラウンドにダウンし起き上がろうとするシーンは何度観ても感動します。私たちは、もうダメだと思った瞬間から、身体の力は抜けていきます。身体を支え動かしているのは心だと思いますし、心が諦めた瞬間に挑戦は終わるのです。心は傷つきやすくて折れやすいものです。支えがなければしっかりと保つことができません。支えてくれるのは周囲で応援してくれる人たちです。

そしてこの場面に、映画「ロッキー」が伝えたかったメッセージが込められていると思います。能力で劣っていても、立場が弱くても、不安を抱えていても、欲するものを掴むためには勇気をもって立ち向かうことが人生だということです。

それに気づいた観客から、最終の15ラウンドは「ロッキー」「ロッキー」の大歓声が沸き起こります。人は立ち向かう勇気を持っている人を応援してくれるのです。

試合を盛り上げているのはロッキーのテーマソングです。いつ聴いても勇気をもらえます。

人はたくさんの応援をもらって経験をして生きています。両親から、家族から、友達から伝記から、そして映画からも生き方を学んでいます。こうして50歳を過ぎても「ロッキー」を観て感動し、新たな学びができていることを嬉しく思います。高校生の時に「ロッキー」に出会えたことに感謝するばかりです。

当時、無名の高校生が、同じく無名の俳優と映画に出会い共感したことは珍しいことではありません。しかしその時の感動を持ち続け、挑戦する勇気を持ち続けていられることを誇らしく思っています。これからも挑戦することを諦めたくなる場面が訪れると思いますが、原点に立ち戻れるものがあることで乗り切れると思います。