コラム
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2015/9/28
1611    2015ラグビーワールドカップ

2015ラグビーワールドカップ。日本代表チームの初戦を観て、感動以上のものを感じました。奇跡が起きた瞬間の凄さ、選手の皆さんに「ありがとう」と伝えたいと思います。

南アフリカとの初戦は勝てるとは思っていませんでした。しかし後半40分を経過した時の最終となる連続プレイの凄さに驚き、その前のゴールキックで引き分けを狙うのではなくて、勝ちに行く選択をした決断力にも感動しました。トライを狙いに行く選択は、仮に敗れていたとしても賞賛させるべきものです。

日本ラグビーは勝ちに行く姿勢と勇気を持っていることを世界に伝えられたからです。その前のプレイで南アフリカがゴールキックを選択し3点を取りリードしましたが、その時に会場からブーイングの声が聞こえたのに対して、日本がトライを狙う選択をして攻めている時の会場全体から聞こえてきた日本を応援する歓声は鳥肌モノでした。会場全体から自然と沸き起こったジャパンコールはテレビで観ている人の心にも届きました。「絶対に逆転できる」と思う空気を感じました。

応援とはその人を励ますことですが、応援する気持ちは直接でなくても心に届けることができます。会場からの声援という形の応援と、テレビで観戦している人の直接届かない応援の声が選手の心に届いたと思います。

そして最後の逆転につながったのは、南アフリカに点差で離されずに食い付いていった五郎丸選手のゴールキックにあります。ワールドカップのプレッシャーの中、正確に得点を重ねて行った五郎丸選手のプレイも感動しました。

そんな五郎丸選手でも自身初のワールドカップでキッカーを務めるプレッシャーが襲い掛かったようです。初戦の二日前に、余りの緊張からフランス人コーチに胸のうちを相談したと記事で読みました。コーチは「大舞台人生の中でなかなかない。楽しむべきだ」と言われたことからスイッチが入ったと書かれていました。

大舞台に出場できるプレイヤーは決っていますし、誰でも出場できるものではありません。代表選手はプレッシャーと戦うことになりますが、それは誰でも出場することが叶わない大舞台を与えられたからです。大舞台で戦うためには技術力と精神力が求められます。襲い掛かるプレッシャーに打ち勝つ精神力を持てる人が大舞台に立てるのです。

ラグビーワールドカップ初戦と同じ日、映画「42〜世界を変えた男〜」をDVDで観ました。黒人初のメジャーリーガーであるジャッキー・ロビンソン選手の物語です。黒人初というプレッシャーは並大抵のものではなかったことが分かりました。

アメリカ社会に残る差別との戦いであり、差別に勝つためには成績を上げてチームメイトや相手チーム、ファンに実力を認めさせなければならないプレッシャーがありました。そして自分が成績を残せなければ黒人選手のメジャーリーグへの道を断ってしまうことになりますから、そのプレッシャーとの戦いに感動しました。批判や差別的発言に反論せず、結果を出すことで認めさせること。世間というプレッシャーに勝てる人こそ大舞台で戦える人なのです。

戦い続けた選手のプレイに感動し、会場の応援に感動し、プレッシャーに打ち勝った精神力に感動しました。人に感動を与えるのは、全力を尽くす姿だと教えてもらいました。