コラム
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2015/8/20
1604    「YES」の背景

この人が他人に物事の依頼をすると必ず「YES」の返事をもらう経営者がいます。簡単に肯定的な返事をもらっている秘訣を尋ねると、「依頼をして『はい』と言ってもらうのは簡単ではないですよ。ここまで来るのに時間とお金がかかっているから」と答えてくれました。

依頼に「YES」と言ってくれるようになるためには信頼関係を築いておくこと。そのためにお金を投資しておくことが大切だということです。この人に頼まれたら「NO」と言えない関係を築くには信頼関係を熟成するまでの時間と、一緒に楽しく過ごすためのお金を必要とします。日頃、関係がないのに、突然の無理なお願いに対して「YES」と言ってくれることはありません。信頼関係を築いているから、突然の無理なお願いに対しても「YES」と答えてくれるのです。その回答の背景にある時間とお金の存在を、周囲の人は知らないのです。ですから簡単に「YES」の回答を引き出すので、自分も困った時にお願いをすれば「YES」と答えてくれると勘違いしているのです。

そして多くの人はこの人に依頼すれば、簡単に相手から「YES」の答えを引き出してくれると思っているので、それこそ簡単に頼みごとをするのです。人間関係を簡単に考えている人は時間とお金の使い方を知らない人ですから、筋が悪いのです。

相手が「YES」と言ってくれるまでになる信頼関係の構築に長い時間と費用を要していることを知らない人が、簡単に他人の人脈を使おうとします。

まともに一からお願いをして、その依頼が実現するには時間と費用がかかります。その時間とお金を使いたくないから、簡単にやってしまえる人にお願いをするのです。そして時間とお金の価値を知らない人は、お願いをしてもお礼を言いませんし、感謝の気持ちも表しません。望んでいる結果が出たとしても、感謝とお礼の気持ちを伝えることはありません。それどころか、望んでいる結果がでなかった場合、批判的な行動に出ることがあります。

「あの人に頼んだのに、できなかった」、「あの人は力がないから何を頼んでもできない」など、第三者に批判のメッセージを伝えるのです。この話は珍しくもなくよくあることです。

小人物や自分を過大評価している人は、結果が出なかったことに対して、自分がお願いした人を批判する姿勢を取ります。やってくれたら褒め称え、できなかったら批判をする、そんな小人物がいることも知っておきたいことです。他人の批判は聞いていて気分が悪くなりますが、対応方法は批判をしていることを知っても相手にしないことです。小人物を相手にすると益々批判の言葉を強くします。「その人を相手にしていると自分の評価を下げてしまうし、批判合戦をしていると同じような人物に思われてしまいます。ですから、批判の言葉を発する人はその程度の人」だと思うことで相手にしないことです。

人を批判する言葉を発する度に、その批判内容と同等の自分の信頼を失って行きます。批判をする人はそのことに気付いていないのです。人を褒めると信頼も好感度も上昇しますが、人を批判すると信頼は失われていき、その人の傍から人が去って行きます。

結論です。お願いをして「YES」と言ってもらえる人は、それまでに長い時間とお金を使っているので、その人の人脈や信頼を使わせてもらう場合、その背景にある時間とお金のことを知っておきたいのです。時間とお金を使わないでお願いをする人は、その依頼した人の批判をしないことです。