コラム
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2015/6/29
1595    答弁に込められた思い

平成27年6月県議会定例会の一般質問で行った「南紀熊野体験博で根付いた地域振興をどう活かすのかについて」の知事答弁に関して、一般質問を終えてから数日後、担当箇所から知事の思いを聞かせてもらいました。

この一般質問の知事答弁の中に次のような一文があります。

「博覧会というものはこういうものだ、こういうふうにするものだと、人はすぐに考えがちでございまして、そこで思考停止をするわけでございます。そういう面をたくさん検討していくなかで、それを熊野の特性から、あの形が最適と考え出し、多くの人々を説得したことはとても偉いというふうに思います。県庁職員はこうでないといけないというふうに思う次第でございます」。という知事答弁です。

これは議場で知事が答弁した言葉の一部ですが、元々事前に打ち合わせをした答弁原稿にはなかったものです。私が議場で行った一般質問に対して、議場で聞いていた知事が自分の考えを答弁の中に入れてくれたものです。このような答弁者の思いのこもった言葉で答弁してくれることが嬉しいのです。

この意味は、当時の垣平事務局長が熊野をどうアピールすべきかという困難に突き当たった時、従来のような案内つきの観光に料理するのではなくて、オープンエリア型というスタイルにして自分達で歩いてもらうことで熊野を知ってもらうという、それぞれの感性に委ねる体験型に料理したことが凄いことだと言っているのです。

そんなものは博覧会や観光ではないなどの意見に対して、このスタイル以外に体験博という意味を込められないと考えた事務局長が、博覧会職員や県庁上層部を説得していったのです。その熱い思いと説得する力、そしてやり遂げた力が凄いことであって、県庁職員はこんな仕事をしなければならないから見習うべきだと言っているのです。議場で知事が実名を出す訳に行きませんが、事務局長、つまり垣平高男さんが行った仕事の進め方を最大に称えている答弁の一文なのです。

自分が関った仕事の責任者が、当時、前例のないチャレンジをしていたことの苦しみとそこから抜け出すための決断を下した。「きっと職員に言えない、悩みや葛藤があったんだろうな」と思いました。どんな仕事でも責任ある立場に立たされることはやりがいがありますが、人知れず悩むこともあります。その時に直面する困難に対して、自分の責任において決断を下しながら仕事を進めていくことが大切なことです。

たくさんある選択肢の中で、簡単に道を選択するのではなくて、困難かもしれないけれど、きっとこの道が正解に違いないと感じ取れた道を選択してチームと一緒に歩くこと。それがトップの仕事の姿勢だと思います。

南紀熊野体験博実行委員会の上司であった垣平高男さんを知事が称えてくれたことは私にとっての喜びであり、博覧会に関われて良かった、そして議会で取り上げて良かったと思っています。

一般質問に関するこんな嬉しい後日談を聞かせてもらえたことで、このテーマを取り上げて良かったと、充実感と達成感を味わうことが出来ています。1999年の夏から、もう16年目の夏を迎えています。あの場所に何事もなかったように夏は繰り返されています。