コラム
コラム
2014/9/17
1531    93歳の絵画展

和歌山市民会館において93歳の亀井百合子さんが初めての個展を開催しました。亀井さんに絵画を指導している先生は、「感動しています。人は何歳になってもやれば出来ることを亀井さんは証明してくれています。私は元教師ですが、もう一度教壇に立ちたいなあと思っています。今教壇に立つことができたら、子ども達への道徳教育は現役時代よりも深く実践的に教えられると思います。人は90歳を超えてもやろうと思ったらやれるんだという道徳教育ですよ。この個展開催を通じて得られることは」という話を聞かせてくれました。

絵画の先生は亀井さんが個展開催を決意した春頃から個展用の作品を何点か仕上げる指導をすると共に準備、会場設営などのお手伝いをしています。春から秋にかけて個展に向けた支援活動の中で道徳教育なものを意識したと言います。

人は目標を持って頑張ることが尊いことであり、その頑張ってきた結果を人に見てもらうことが幸せなことだと思います。人に見てもらうためには、自分が懸命に頑張り続けることが最低条件です。私達は頑張ることはできますが頑張り続けることは難しいことです。頑張り続けた人だけが結果を出せ、人に見てもらうことなどで称えてもらうことができるのです。

亀井さんの作品から「元気をもらった」、「頑張らないと」という意見を伝えてくれる人がたくさんいました。プロではない個人の作品展で、これだけたくさんの人が訪れている個展は滅多に見ることがないと思います。亀井さんは「お世話になっている人に観てもらえたら」と話していましたが、その広がりは友人知人だけには留まっていません。新聞を見て来場した人や噂を聞いて訪れた人もいました。

新聞記事を見て来場した人の中に西原さんがいました。西原さんは92歳で亀井さんと同じように絵画を描き続けています。西原さんの作品も拝見させてもらっていますが、92歳とは思えない創作意欲と元気さを誇っています。西原さんは「私と同じような年齢の人が個展を開催すると知ったので会場に来ました。何歳になってもやればできることを証明してくれています。元気をもらえる作品ですよ」と話してくれました。

西原さんは近々胃の手術を行いますが、それは「将来のために」という理由です。92歳ですが将来にやるべきことがあるので元気でいる必要があると自分で判断して手術をする決断をしたのです。人生とは頑張って自分の力で生きること。そんなことを教えてくれるようです。「人に頼っていてはいけません。自分の力で生きなければ。今月中に手術をして、そこからが新しい人生のスタートです」と続けて話してくれました。帰り際、西原さんからは「会場に来て本当に良かった。片桐さんに会えたから」と嬉しい言葉をいただきました。

それにしても93歳の亀井さん、92歳の西原さんには元気をいただきました。やろうと思えばやれること。頑張り続けることが人生であること。そして目標を持って生きることを教えられました。参考までに西原さんは毎年、元旦にその年の目標を掲げています。平成26年の目標は一日一生で、その日を懸命に生きることを掲げています。

二人の素晴らしい生き方に感動を覚えました。亀井さんの個展開催を心からお祝いし、元気を分け与えてもらったこと、人との出会いの素晴らしさを伝えてくれたことに感謝しています。後日、まちで「93歳の亀井さんの絵画、凄かったね。90歳から習い始めたそうですよ。私達も習おうかな」という会話が聞こえてきました。