コラム
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2014/9/16
1530    情報が集まる

私の友人が元外交官の人と話した言葉を伝えてくれました。「元外交官のOさんは片桐さんを高く評価していました。政治家は聞いている振りをして話を聞いていない人が多いが、彼は興味津々で目を輝かせて聞いてくれた。彼なら色んな情報の集まるとも仰っていました」と伝えてくれました。とても嬉しい評価をいただいたことに感謝しています。

Oさんはとても優秀な元外交官で、その優秀さの余り派遣先の国から、「是非わが国に来て欲しい」と要請を受け国家公務員を退職し、現在は、その国のために仕事をして暮らしています。行った先の国から要請があり外交官を退職して、その国のために尽力する姿勢は共感できますし、国が欲しがるほどの優秀な人です。

このことについてOさんと話をしたことがあります。Oさんが話してくれた主旨は次のようなものです。

「日本が国際社会で認められるための外交戦略はいくつかあります。外交官として仕事をすることは素晴らしいことですが、任期は3年程度だと思います。わずか3年間で日本のためにできることがあるのか。相手国のために役立つことがあるのかを考えると、組織としては良いとしても個人としては良い外交ができるかどうか分かりません。相手国が信頼しているのは日本と言う国家であり個人ではありません。

しかし外交で必要なことは個人が信頼されることです。個人が信頼関係を築くことが真の意味で国家の信頼につながるのです。ですから仕事のつながりだけだと任期だけを務めて帰国した場合、そこでその国との関係は終わってしまいます。しかし外交に終わりはありませんから継続した取り組みが必要です。私の場合は帰国してからも相手国からの相談や仕事の要請があり、その都度行っていました。嬉しいことに個人として信頼してくれていたことから国の発展のために力を貸して欲しいと要請を受け、考えた結果、国家公務員を辞してその国に行くことを決めました」。

思い切った決断ですねと質問したところ、「思い切っていないですよ。国家公務員としての仕事はやりがいはありましたが、個人として役立つことがあれば、望まれた場所で勝負をすることが人生だと思いました。ですから後悔は全くありません。今は迎え入れてくれた国のために、そして日本のために仕事をしています。外から見た日本の成長を楽しみにしていますし、何かのお役に立てることを楽しみにしています」と話してくれました。

その国は資源国ですから、わが国に対して天然ガスなどの化石燃料を安定的に供給してくれています。日本にとって大切な国でありこれからも信頼関係をつなげていくべき国ですから、Oさんが人生を賭けてその国で仕事をしてくれていることは、将来のわが国の国益を確保していることになっています。

後輩の外交官に対しては「組織として仕事をするな。個人として相手国とつながりを持ち信頼されることが国家のために大切なことだ。帰国して関係が切れてしまうような仕事はするな」と伝えています。

素晴らしい教えであり人格です。そんなOさんが私のことを冒頭のような評価をしてくれていることを嬉しく思います。情報を集めることが外交官の仕事のひとつですが、そんなプロから情報が集まる人だと評価されたことに感謝した次第です。