コラム
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2014/9/3
1525    挨拶レベル

交響楽団の役員経験のある方と話をする機会がありました。交響楽団は未知の世界なので興味深く聞くことができました。団員は皆一流なので個人事業主のような感覚を持っているようです。指揮者はその一流で個性豊かなメンバーをまとめ上げる力量が必要となります。指揮者の技量、リーダーシップ、人間性などによってコンサートの出来栄えが違ってくると言います。

もうひとつ出来栄えを左右する要素があるようです。それは団員への気配りだと言いますから、交響楽団であっても同じ人間組織だと思いました。

スポンサー企業の役員が楽屋に挨拶に行くこと。飲み物の差し入れをすること。お弁当を少し豪華にすること。そして楽屋を訪問した時に出会った団員さんに「頑張って下さい」、「演奏、楽しみにしています」などの言葉を掛けることがやる気にさせる気配りだと言うのです。

特別なことではなくて少しの気配りをすることがコンサートの出来栄えに影響を与えるのですから、突き詰めると主催者の人間性がコンサートの内容を決定してしまいそうです。

主催者がクラシック好きで「今日の演奏を楽しみにしている」だとか「お客さんに一流の演奏を届けることが楽しみだ」などの思いがあれば、その心は団員に伝わり、その日は一流の交響楽団に相応しいコンサートになることでしょう。

逆にクラシックに興味が無い担当役員が会場に激励に行って気配りがなければ、団員は気持ちを高めることはできないと思います。楽屋ですれ違っても挨拶をしなかったり、一緒に盛り上げていこうという気持ちが伝わらなければ、コンサートはその通りの結果になります。

交響楽団も人の組織ですから、気配りによってやる気が違ってくるのです。一流のメンバーの一流のモノを引き出すのは、一流を知る人の心、気配りです。

組織と全く同じです。会社でもトップが自ら従業員さんに挨拶をすれば、従業員さんは関心を持って気に掛けてくれていると思い、朝からやる気に満ちてきます。幹部が従業員さんに関心を持っているなら、感謝の言葉が出てくると思います。そんな気配りがやる気を引き出し、活力ある組織になる要因になります。

年齢やポジションに関係なく先に気付いた方から挨拶をすることや、「さん」で呼び合うことは親しみを増すことになります。そして挨拶をするだけでも効果があるのですが、一言付け加えることで、より親しみを増す効果が期待できます。

朝出会う人に対しては、「おはようございます。暑い中、ご苦労様です。暑いので健康に気をつけて下さいね」など。夜勤明けの人に対しては、「おはようございます。昨夜からお疲れ様です。今朝は暑いので無理をしないで下さいね」などの挨拶へと、挨拶のレベルを上げたいものです。

挨拶のレベルを上げるということは、自分のレベルを上げるということです。その相手に無関心だったり、自分の方が偉いと思っているなら、その人に対して気持ちの入った挨拶はできません。相手の立場や仕事に敬意を持ち、その人が居てくれるから自分の仕事が気持ち良くできると思うなら、気のない挨拶をすることはありません。挨拶のレベルを上げるためには関心を持つこと。気配りができるようになること。尊重することです。それができるようになれば、自分の人間としてのレベルが上がり、挨拶レベルも上がります。